爆竹の音がヤバイ!長崎の「精霊流し」ってどんなイベント?見所は?
長崎の精霊流しは、盆前に亡くなられた人の遺族が故人の霊を弔うために手作りの船を曳きながら長崎の街中を練り歩く伝統行事です。精霊流しとは一体どんなイベントなのかについてはもちろん、またその見所や日程を紹介します。これからのお盆の時期にぜひ参考にしてくださいね!
目次
長崎の「精霊流し」とは
長崎で行われる「精霊流し」は、盆前に亡くなられた人の遺族が故人の霊を弔うために手作りの船を曳きながら街中を練り歩く長崎の伝統行事で、毎年8月15日に行われます。故人を弔うために造られた精霊船を曳きながら、鳴り響く爆竹の中で行われる仏教の行事です。
長崎ならではの大切な伝統行事で、さだまさしさんの曲の題名にもあり有名な精霊流し。今回はその見所や日程、交通アクセス情報について詳しい情報を紹介します!長崎の魅力あふれる伝統行事ですので、ぜひおでかけの際に参考にしてみてください。
故人の霊を極楽浄土へ送り出す長崎の伝統行事
長崎で行われる「精霊流し」は、盆全に亡くなられた人の遺族がそれぞれ弔うための精霊船を造り長崎の街中を練り歩く伝統行事で、毎年8月15日に行われます。盆提灯や造花に加えて、故人の好きだったものなどで飾られた精霊船を「流し場」と呼ばれる終着点まで運んでいく仏教行事です。
8月15日当日の夕暮れ時になると、町の至る所から「チャンコンチャンコン」という鐘の音と「ドーイドーイ」の掛け声、そして大きな爆竹の音ば鳴り響き、精霊船の行列は夜遅くまで続くため、長崎の一大イベントとなっています。
長崎「精霊流し」の見所
初盆の故人、船で浄土へ…長崎の伝統行事「精霊流し」https://t.co/J0gpYa8ryB pic.twitter.com/BShtVndXoQ
— 産経ニュースWEST (@SankeiNews_WEST) August 15, 2017
毎年8月15日に長崎で行われる「精霊流し」にはたくさんの見所があります。さまざまなデザインの精霊船や長崎の街で鳴り響く大きな爆竹の音など、精霊流しでしか感じることのできない魅力やその見所についてこれから詳しく紹介していきましょう。
各家ごとに作られる華やかな精霊船
長崎で行われる「精霊流し」では、それぞれの遺族の方々が故人を弔って思いを込めて造った精霊船を曳きながら長崎の街中を「流し場」と呼ばれる終着点まで運んで行きます。さまざまなデザインの精霊船をみることができるところが精霊流しの見所の1つです。
各家で造られる精霊船は大きさもさまざまで、材料は主に竹や板やワラを使って造られます。長く突き出した船首(みよし)には家紋や家名そして町名が大きく記され、盆提灯や造花に加えて故人の趣味や好きだったものなどを飾りに加えた船などもあり、遺族の方々の思いを感じることができます。
箱ごと鳴らされる爆竹
長崎で行われる「精霊流し」で一際存在感が強いものは、何といっても長崎の街中で鳴り響く大きな爆竹の音です。8月15日当日の夕暮れ時にこの爆竹の音が鳴り出すと、長崎の街が一気に精霊流しに染まっていくところもまた、精霊流しの見所の1つです。
長崎の「精霊流し」の始まりは中国で行われる彩舟流しであると言われており、中国では爆竹は魔除けの意味があるため、精霊船の通る道を清めるために爆竹を鳴らしながら精霊船を曳くことが伝統になっているのです。
祭りの際は爆竹が大量に販売?
長崎で行われる「精霊流し」では大量の爆竹が使われますが、長崎では爆竹がまるで当たり前かのようにスーパーやコンビニで販売されています。長崎では精霊流しはもちろん、お盆やお墓詣りの際も墓場で花火を行うなどの風習があり、爆竹や花火は基本的に販売されているのです。
日本全土で見ると、お墓参りなどで爆竹や花火など賑やかなものを行う風習がなく驚かれる方も多くいらっしゃいますが、長崎では昔からこれが伝統的な風習なのです。一度ぜひこの時期に長崎に足を運んで、この長崎ならではの雰囲気を実感してみてはいかがでしょうか。
鐘の音と独特の掛け声
長崎で行われる「精霊流し」では、それぞれの遺族の方々が故人を思い造った舟を曳きながら長崎の街中を練り歩きますが、鐘の音に加えて「ドーイドーイ」という大きな掛け声が至る所から聞こえてきます。これも精霊流しの際の伝統的な掛け声なのです。
精霊流しは長崎の歴史的な仏教行事であるため、もともと舟を曳きながら「南無阿弥陀仏」と掛け声を行っていましたが、これが省略や訛りによってだんだんと変化していき現在では「ドーイドーイ」という掛け声になっていると言われています。
このように意味を知った上でこの掛け声を聞き街中の雰囲気を感じることも、長崎で行われるこの「精霊流し」の大切な見所と言えるでしょう。ぜひ精霊流しを身に足を運ばれて際は、この掛け声を聞きながら精霊流しに染まる長崎の雰囲気を感じてみてください。
さだまさしの曲のモデル
「精霊流し」と言うと、シンガーソングライターのさだまさしさん作詞作曲をした「精霊流し」という曲がありますね。さだまさしさんは長崎出身で、この曲はさだまさしさんの母方のいとこのお兄様が亡くなられた際の精霊流しの出来事がモチーフとなっている楽曲です。
その後2001年には、さだまさしさんの自伝的小説として「精霊流し」という小説も刊行され、2003年にはその自伝的小説が映画化するなど、さだまさしさんの代表作の中の1つとなっています。
この曲でさだまさしさんは第16回日本レコード大賞作詞賞を受賞しており、多くの人に親しまれる楽曲となりました。この曲からも当時精霊流しに参加していたさだまさしさんがどんな思いでこの精霊流しを迎えていたのか、さだまさしさんの当時の思いや背景が見えてくる名曲です。
さだまさしさんをはじめ、それぞれの遺族や長崎県民が精霊流しを背景にどんな思いを持っているのかがとても伝わってくるため、精霊流しを見る前にぜひ、さだまさしさんの「精霊流し」を聞いてはいかがでしょうか。
長崎の「精霊流し」の歴史
初盆だったので長崎精霊流しに参加しました?#しょーぺぐ pic.twitter.com/IM40B7QOG9
— show@はやぶさ (@show_nanoRR) August 15, 2019
長崎では毎年欠かさず行われているこの「精霊流し」。長崎では歴史的な伝統行事となっていますが、この精霊流しには一体どのような歴史があるのでしょうか。今回は「精霊流し」の歴史について、諸説を紹介しましょう。
始まりは中国の「彩舟流し」
長崎で行われている「精霊流し」は、一説によると中国の「彩舟流し」が始まりなのではないかと言われています。「彩舟流し」とは江戸時代の頃、中国から通訳や貿易のために長崎へ訪れていた人々が航海の途中や長崎で亡くなることがあり、その人々の弔い行われていた行事です。
彩舟流しには2種類あり、毎年行われる小流しと20年から30年に1度行われる大流しがありました。小流しは約4mの舟を造りその年に亡くなった人々を供養し海へ流すことで、今後事故などがないよう安全祈願を願って行われていたといいます。
大流しは実物大の舟を造り港を練り歩いた後、浜で舟を焼き亡くなった人々を弔ったそうで、この彩舟流しが長崎で行われている精霊流しになったのではないかという説があります。
爆竹も彩舟流しの影響
#長崎 のお盆の先祖送りはめっちゃ衝撃的なスタイル!
— ふくたろう🐣カルチャリスト (@fukutaros) August 15, 2019
精霊流し(しょうろうながし)
毎年8/15日は、船を作って街を練り歩き、爆竹を撒きまくるという、中国伝来の先祖祀りのスタイル🔥?#精霊流し pic.twitter.com/7TUEgLPQrg
長崎で行われる「精霊流し」の見所の1つでもあるのが耳を塞ぎたくなるくらい大きな爆竹の音ですが、この爆竹も中国の彩舟流しが影響しているという説があります。日本ではあまり爆竹に意味などはありませんが、中国では爆竹には魔除けという意味があるのです。
そのため、長崎の精霊流しは故人の魂を乗せた精霊船の通る道を清めるために、たくさんの爆竹を鳴らしていると言われています。しかし近年爆竹をめぐる危険行為などが原因で問題視されている側面もあります。
長崎独特の変化を遂げた説も
長崎精霊流しです😆#長崎 #精霊流し #精霊船 #船 #爆竹 #長崎爆竹 pic.twitter.com/rgSfVZcn8O
— のぐちゅーぶ野口剛♓️長崎YouTuber会副会長 Googleローカルガイドレベル10 UGC隊長 (@ta0416) August 15, 2019
長崎で行われている精霊流しの由来には他にも説があり、全国各地で行われている万灯流しや菰(こも)包みの川流しなどが長崎で独特の変化を遂げて精霊流しになったのではないかとも言われています。
万灯流しとは小さい舟に提灯を置いて流し、菰包みの川流しは菰や藁で編んだむしろを流す日本行事のことで、どちらも故人を弔うために行われる日本の歴史的な伝統行事として行われているものです。
「長崎名称図絵」には1716年から1735年の江戸時代の頃に、物好きな男性が小さい舟にお供え物を積んで流したと記されており、それを他の人々が真似をし長崎の精霊流しの始まりとなったという説もあります。精霊流しの歴史にはこのように諸説ありますが、未だに定説はないようです。
長崎「精霊流し」の注意点やオススメの服装
初めて精霊流しを見たけれど
— Ange (@Ange77448841) August 15, 2019
いや~すげぇわ!頭も服も爆竹のカスだらけ(笑)転倒に気をつけるどころじゃなかった。 pic.twitter.com/ExIbNwDCvf
長崎で行われる精霊流しの歴史や見所を紹介してきましたが、精霊流しに足を運ぶ際には注意点やおすすめの服装などがあります。今回は長崎の精霊流しへ足を運ぶ前に知っていると必ず役に立つ注意事項やおすすめの服装、交通規制の情報などについて紹介しましょう。
祭りではなく伝統行事
今日は長崎のお盆の伝統行事、精霊流しが行われました。
— 祐☆🌱Eternal Gardener🌱 (@yu_iceman) August 15, 2019
8年前に祖父の精霊船を流した時は祖父が県営バスの運転手をしていたため、県営バスデザインの精霊船で送りました。 pic.twitter.com/A3loZK5Q2d
長崎で行われる「精霊流し」は爆竹や雰囲気などは賑やかになり毎年多くの人が見学に訪れますが、決してお祭りではありません。あくまでもお盆の歴史的な伝統行事であるため、商店街が屋台のようなものを出していることはありますが基本的に屋台は並びません。
どんなに賑やかでも、お祭りではなく遺族がさまざまな思いを抱えて故人を弔うために行っている長崎の歴史的な伝統行事であること理解して見学しましょう。
耳栓必須!
長崎の伝統行事「 #精霊流し 」が始まりました。県庁前は爆竹と花火ですごい音です。耳栓必須。 pic.twitter.com/HO3GpXa9LB
— 毎日新聞長崎支局 (@mai_nagasaki) August 15, 2017
長崎の精霊流しで使われる爆竹はとても大量であり、夕方になり爆竹が一斉に鳴り始めるとすぐ近くにいる人の声すら聞こえなくなってしまうほどの大きな音です。この凄まじい爆竹の音で耳が悪くなってしまう人も少なくないため、必ず耳栓を持参して精霊流しを見学することをおすすめします。
この時期になると長崎のスーパーうやコンビニなどで耳栓は販売されておりすぐ購入することもできるため、忘れて足を運んでしまった際も安心して見学できます。
爆竹や花火が飛んで来る
ハンパない😱#長崎 #精霊流し #爆竹#初盆 #ハンパない pic.twitter.com/2OAVVmNVYF
— あらよっと (@ara4103) August 15, 2019
長崎で行われる精霊流しでは大量の爆竹が鳴らされますが、びっくりすることに見学している人の近くで爆竹が鳴ることも少なくありません。爆竹や花火の火花が飛んでくることもありますので、少し離れたとところから見学することをおすすめします。
また、見学しているときにお祭り気分になってしまい見学者が爆竹を投げ入れことは禁止事項です。精霊船はダンボールの箱ごと爆竹に火をつけて派手に鳴らしますが、事前に所轄の警察署へ打ち鳴らす爆竹の数をきちんと届出しており、その範囲内で行っているのでむやみに参加しないようにしましょう。
交通規制は?
長崎で行われる精霊流しでは、精霊船の通り道確保のため舟が集まりだす17時頃から精霊流しが終わる23時頃までの時間に交通規制が行われます。交通規制が行われるルートは3つで、まずは正覚寺電停付近から、中央橋交差点と県庁前、大波止交差点、流し場までのルートです。
そして諏訪神社前交差点から市役所前、興善町交差点、テレビ長崎本社前を通り流し場へのルートと秦公園付近から中華街横、銅座橋、観光通りへ出るルートの3つで行われます。交通規制が行われる時間帯は車でのアクセスが一切出来なくなりアクセス方法は徒歩のみとなります。
8月15日 精霊流しによる交通規制
— 九州bus (@saganagabus) September 8, 2018
また来年も見にいきたいな
バスも精霊船も! pic.twitter.com/zE9z0CRgOe
交通規制が行われる詳しい時間帯に関しては、所轄の警察署や市役所に聞くと教えてもらえるので、精霊流しに足を運ぶ際は確認しておくとより安心して精霊流しの見学を行うことができます。
おすすめの服装は?
長崎で行われる精霊流しを見学に行く際は、服装にも注意することをおすすめします。紹介したとおり、精霊流しの際は大量の爆竹が鳴り、見学をしている人々の近くでも爆竹が鳴ることが多くあり、服装によっては服に穴が開いてしまったり、怪我をしてしまうこともあるため服装には要注意です。
精霊流しを見学する際は大量の爆竹が鳴りますが、びっくりすることに見学している人々の足元にまで爆竹が投げ入れられることもあります。そのため足元の服装はできるだけ素足などは避け、長めの靴下を履くなど足元の服装にも注意すると安心です。
トップスの服装も夏ではありますが、爆竹や花火のカスなどが降ってくることがあるため長袖や露出の少ない服装やできるだけ簡単な服装をおすすめします。またできるだけ精霊船の近くに寄りすぎないようにしましょう。
長崎の「精霊流し」のアクセスや日程
長崎で行われる「精霊流し」の見所について紹介してきましたが、次は長崎の精霊流しを見学する際の主要都市から長崎への交通アクセス情報や精霊流しの日程など、知っていると役に立つ情報を紹介しましょう。
アクセスの詳細
長崎へのアクセス方法は、飛行機をご利用の方は東京からだと約1時間50分、名古屋からだと約1時間25分、大阪からだと約1時間15分で長崎に到着します。また広島からだと鉄道で約3時間、福岡からだと鉄道で約1時間50分で長崎に到着します。
飛行機をご利用の方の長崎空港到着後のアクセス方法は、バスで約43分で長崎駅に到着することができ、長崎駅から精霊流しが行われる思案橋や長崎県庁近く、大波止周辺へは徒歩でのアクセスが可能です。
精霊流しの際は大幅な交通規制が行われるため、長崎の中心部まで到着するとアクセス方法はほぼ徒歩のみとなります。車や公共交通機関でもアクセスできなくなるため、ゆっくり長崎の街を楽しみながら歩いて精霊流しを見学することになります。
また、精霊流しが行われる長崎の中心部には観光地やお店も多くあるため、精霊流しが始まる夕方よりも早い時間に車や公共交通機関を利用して中心部へアクセスし、精霊流しの時間まで長崎観光を楽しむこともおすすめです。
日程は?
精霊流し
— イケダサトル (@souvenir878) August 31, 2019
Send off spirit ceremony
故人を送る長崎のお盆の伝統行事。
汗と涙、火薬の匂いと爆竹の音、祈り。 pic.twitter.com/nsFFCk4b85
長崎で行われる「精霊流し」の日程は、毎年8月15日の17時頃から舟が集まりだし23時頃までにかけて行われています。正確な日程は決まっていませんが、近くなると所轄の警察署や市役所に尋ねると交通規制が行われる正確な日程がわかり、大体交通規制が行われる時間帯から始まります。
精霊流しへ足を運ぶ際は、事前に交通規制が行われる時間や日程を知っているととても行動しやすく役に立つので、ぜひ所轄の警察所や市役所にその日の交通規制の日程を尋ねてみることをおすすめします。
精霊流しの基本情報
名称 | 精霊流し(しょうろうながし) |
住所 | |
開催日 |
2020年8月15日(土曜日) |
日程 | 17時頃~23時頃 ※詳細は所轄の警察署や市役所に聞くと教えてもらえます。 |
参考サイト | https://www.nagasaki-tabinet.com/event/51798/ |
長崎の「精霊流し」で伝統行事を味わってみよう!
長崎は精霊流し。町中に爆竹の音が鳴り響く。一年で一番騒がしい一日。 pic.twitter.com/xBAaRTW5j0
— デミー@土木応援家 (@DemizuAkira) August 15, 2019
長崎で行われる「精霊流し」は、故人を弔う人々で集まる長崎の歴史的な伝統行事です。それぞれ遺族が盆提灯や造花、そして故人の好きだったものなどでデザインされた精霊船を曳きながら長崎の街中を練り歩き、町中が鮮やかな色に染まります。
精霊流しは毎年8月15日に行われており、ちょうどこの時期は夏休みの時期のため、この時期に長崎を訪れた際はぜひこの日程に合わせて精霊流しに足を運び、長崎の歴史に触れてみるのはいかがでしょうか。