広島「宮島」には多くの鹿が生息!餌やり禁止の理由や現在の問題点を解説!

宮島には、たくさんの野生の鹿が暮らしています。神の使いとして昔から大切にされてきた宮島の鹿ですが、今現在、凶暴化してしまった鹿の対策として、鹿せんべいなどの餌やり禁止の処置が取られるようになりました。餓死する鹿も少なくなく、多くの問題が浮き彫りになっています。

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目次

  1. 1広島「宮島」の鹿の問題点を徹底解説!
  2. 2「宮島」の鹿の歴史について
  3. 3「宮島」の鹿の餌やり禁止の理由は?
  4. 4「宮島」の鹿の現在の問題点を解説!
  5. 5「宮島」のアクセス&駐車場情報
  6. 6注意を守って「宮島」観光を楽しもう!

広島「宮島」の鹿の問題点を徹底解説!

広島の廿日市市にある宮島をご存知でしょうか。広島の観光名所・宮島と言えば、平和記念公園と並んで世界的にも有名な観光地なので、多くの人たちがその名を聞いたことがあると思います。そんな宮島には、昔から多数の鹿が生息していることでも有名です。

鹿と言えば奈良公園にも多くの鹿が生息していますが、宮島の鹿と奈良公園の鹿では、大きく環境が異なっていることもあり、近年になって非常に問題視されています。この記事では、そんな宮島の鹿について、問題の根本や現在の状況などについてご紹介します。

観光地として有名な広島「宮島」

宮島は、日本三景の一つにも数えられている「安芸の宮島」としても有名な島です。ここには、世界文化遺産にも登録されている厳島神社を始め、多くの観光スポットがあることでも有名で、さらに平清盛が愛した島としても名高く、日本人だけでなく、年間を通して多くの海外からの観光客が訪れています。

可愛いだけじゃない?凶暴化の噂も!

鹿というと、非常に可愛らしい顔をしていて大人しいイメージがあると思いますが、実はそんなことはありません。奈良公園の鹿もそうですが、近年こうした観光地に生息している鹿が凶暴化してきているという話があります。実際に、宮島の鹿が凶暴化してきているのかどうか、そのあたりについても詳しくご紹介します。

「宮島」の鹿の歴史について

ではまず、宮島に生息している鹿がこれまでどんな歴史を歩んできたのか、これまでの歴史を振り返ってみようと思います。どうして宮島に鹿が生息しているのか、どのように扱われ、現在ではどれくらいの規模の鹿が生息しているのか、などについても触れていきます。

奈良から連れて来られたとの噂?

巷では、宮島に住んでいる鹿たちは元々、宮島を観光名所化するために奈良から連れて来られたのだという噂があります。こちらの噂は実は、あまり真実に近いものではありません。確かに奈良から鹿を連れてきた記録はありますが、それもたったの数頭だけなんだそうです。

この数頭が、現在の宮島に生息している鹿の数ほどになるまで繁殖するというのは不可能なので、この噂はあくまで噂の領域を出ないものです。では、どうして宮島には現在、こんなにも多くの鹿が存在しているのでしょうか。

宮島には元々生息していた!

実は、宮島には元々多数の鹿が住み着いていたんだそうです。元々鹿が住んでいた島に、人が上陸して住み着いたことで、現在のような形になっているというのが正しいということです。その証拠として、1183年に西行法師が書いた「撰集抄」という仏教説話集の中で、宮島の鹿の数が多いという記述が残されています。
 

鹿は実は泳ぐのが得意!

宮島に住み着いていた鹿がどこからやってきたのか、というと、実は本州から海を泳いで渡ったという説が有力です。鹿と聞いて「泳ぐ」姿をイメージする人はなかなかいないと思いますが、鹿は実は非常に泳ぐのが上手で、本州から宮島程度の距離であれば、泳ぐのは不可能ではないと言われています。

泳ぐことさえできれば、確かに島には他に有力な外敵は少ないので、そのまま繁殖し続けることができたというのも納得です。

鹿の狩猟を禁止していた!

さらに、宮島では鹿の狩猟も禁止されていました。島の住民たちにとって、作物や民家を荒らす鹿の存在は迷惑なものであった可能性も高いのですが、それでも狩猟が禁止されていたことから、住民たちは鹿を殺処分することもできなかったようです。

鹿は神の使いと言われるため

ある程度の被害があったにも関わらず、結局狩猟行為が許されず今日まで続いてきたのには、ある一つの理由があります。それは、宮島では鹿は「神の使いであると考えられていたという事実です。宮島には、世界遺産である厳島神社があり、市杵島姫命・ 田心姫命・ 湍津姫命などの神様がご祭神として祀られています。

こうした神々の使いが鹿である、という風に考えられてきたため、おいそれと神の使いである鹿を殺処分することが憚られ、ここまで数を増やしたのではないかと言われています。

戦前には1000匹近くに!

こうした背景と、宮島自体に鹿を脅かす天敵がほとんど存在しなかったことから、宮島では戦前、最大で1,000頭ほどにまで数を増やしてしまったという記録が残されています。

広島は原爆が投下された地でもあるため、その際にかなり数を減らしてしまったようですが、今でもこれだけの鹿が生息しているのは、当時ここまで数を増やしていたというのが大きな背景なのではないでしょうか。

現在は500匹ほどが生息

戦後、一度は数が減ってしまった鹿も、現在ではまた数が回復し、約500頭前後の鹿が宮島には生息していると言われています。最大の数から考えれば、半減してしまっているというのは驚くべき数字かもしれませんgな、宮島自体、そんなに大きな島ではありませんので、島に上陸すれば、その鹿の数の多さに驚くことでしょう。

「宮島」の鹿の餌やり禁止の理由は?

宮島でもかつては、奈良公園のように鹿せんべいが島内でも販売され、普通に鹿に鹿せんべいなどを食べさせたりすることができていました。しかし、現在は餌やり行為は一切禁止され、鹿せんべいや鹿の餌を売っていたお店・自販機なども全て姿を消してしまっています。

宮島で餌やりが禁止されたのは2008年で、それまで普通に餌やりが行われていた鹿たちは突然、鹿せんべいどころか普通の餌やりも行われなくなりました。その背景について、ご紹介します。

理由①鹿の数を減らしたい

鹿の餌やりが禁止された一番の大きな理由は、鹿の数を減らしたい、という思いが廿日市市にあるためです。宮島の鹿は、数を増やしすぎてしまったため、その他の生態系を乱してしまっている、という風に指摘されています。

また、餌やりが行われていた時代は、廿日市市がその餌の費用を捻出していたのですが、その頃の鹿に関する経費は年間で2000万円にも達していたそうです。近年、人口の流出が激しくなってきていることにより、税収が見込めなくなってきていることも、背景にあるのかもしれません。

理由②野生に返すため!

また、宮島の鹿を野生に返したいという思いもあるようです。現在、宮島に生息している鹿は、そのほとんどが島民が暮らし、観光客が往来している市街地に住んでいます。しかし、宮島の中で市街地として開拓されているのは、そのうち5%にも満たない範囲です。

この市街地でぎゅうぎゅうになって暮らしている鹿たちへの餌やりをなくすことで、自主的に野生に返ることを期待している向きもあるようです。

理由③人間を襲うことがある!

定期的に鹿たちに餌やりをしていた頃の鹿は、非常に凶暴化していました。鹿せんべいや鹿の餌なども普通に販売されていたため、鹿せんべいなどの餌を持っている人を襲ったり、観光客が持っている鞄から荷物を引っ張り出したりと、いろいろと迷惑をかけることも多かったようです。

また、露店で食べ物やお土産物を販売しているお店は店先で商品を荒らされたり、飲食店の中に入ってきたり…というような被害もしょっちゅう起こっていました。こうしたトラブルに対する苦情も、餌やり禁止の理由の一つになっています。

理由④鹿への健康被害

さらに、人間が餌やりをすることで、鹿自身にも健康被害が起こっていたようです。当時は、廿日市市からの定期的な餌やりだけでなく、観光客からも普通に餌やりが行われていたため、鹿にとっては餌が供給過多になってしまっていました。

ひどい場合、オスの鹿でも妊娠中のメスのように大きなお腹をしていたということも日常茶飯事で、さらには心ない人たちが餌でないものを食べさせたり、そうでなくても鹿自身が無理やり観光客の荷物を飲み込んでしまったりして、健康被害を起こしていたということもあります。

お辞儀でおねだりされてもダメ!

こうした問題があったことから、現在では完全に鹿への餌やりが禁止されました。今でも、当時から生きている鹿は多く生息しているため、宮島に訪れるとお辞儀をしながら餌を催促してくる鹿が多く存在します。宮島の鹿のお辞儀をする姿はとても可愛らしく、つい何かあげたくなってしまいますが、きちんと我慢するようにしましょう。

鹿せんべいも禁止

鹿への餌やりは基本的に完全に禁止されているので、その餌が例え鹿せんべいであっても、あげるのは禁止です。鹿は、神の使いと言われる程賢い動物なので、一度普通の観光客が鹿せんべいなどをあげてしまうと、それを覚えて他の観光客にも餌をねだるようになってしまいます。

中には、他の観光客が鹿せんべいを持っていないからと凶暴化してしまい、人を襲ったり、人の持っている荷物を無理やり持っていこうとする鹿も現れてしまいます。たかが鹿せんべいくらい…と鷹を括らず、くれぐれも注意するようにしてくださお。

「宮島」の鹿の現在の問題点を解説!

しかし、こうした問題点に対処するために決断された「宮島の鹿への餌やり禁止」ですが、現在ではまた別の問題が発生してきているようです。鹿をめぐる現在の問題点についても、少し目を向けてみましょう。

問題点①宮島の植生を壊している

鹿への餌やりをやめたことで、宮島で暮らす鹿たちは宮島に自生している植物の中から、自分たちが食べられるものを探すようになりました。それ自体は問題がないのですが、宮島の鹿が自生している植物をかたっぱしから食べてしまった結果、宮島の植生が乱され始めてしまっているそうです。

宮島の鹿は、宮島の面積に対して数が増えすぎてしまったことに元々の一因があります。植生が乱れれば、近いうちに生態系も乱れていってしまうことは目に見えていて、学者たちを始め、多くの人が強い危機感を抱いています。

問題点②鹿の凶暴化

また、鹿の餌やりをやめてしまったことで鹿が少ない餌の奪い合いを始めた結果、凶暴化してしまっているという問題もみられます。神の使いである鹿同士がケンカをしてしまっているという光景があちこちで見られ、人によっては不快感を示している方もいるようです。

他にも、宮島の中で実際に暮らしている島民の家を襲ったり、観光客のお土産物などを無理やり奪い取ろうとしたりと、鹿の凶暴化が少しずつ目につくようになってきた、という指摘もあります。凶暴な鹿は餌やりをしていた頃もいましたが、今は命がかかっているということもあり、鹿たちにとっても切実な問題です。

問題点③餌やり禁止が虐待との声も!

最後に、主に県外の人たちから、鹿を虐待しているという声も上がってきているようです。鹿の餌やりに関しては、先ほどお話しした費用面の問題だけでなく、鹿の健康面、そして観光客への凶暴化した行為の数々など、様々な側面があります。

確かにこれまで普通にもらえていたはずの餌がいきなりもらえなくなるというのは、鹿にとっては大きなストレスになっていることは間違いありません。

多くの鹿が痩せ細り餓死している

実際、現在の宮島の鹿たちの多くは、ガリガリに痩せてしまい、中にはそのまま餓死してしまったという鹿もいるほどです。鹿の数が増えすぎてしまっていることは事実としても、餓死するまで放置されてしまうというのは、可哀想な話です。

鹿の数を減らしたいのであれば、餓死するまで放置するという手段を取らなくても、無尽蔵に鹿が増え続けないよう去勢手術などで管理する、という方法もあるとは思いますが、人件費などのことを考えると、そう簡単には行かないのでしょう。

「宮島」のアクセス&駐車場情報

最後に、宮島へのアクセス方法駐車場情報などについてもご紹介します。宮島と言えば、広島の瀬戸内海に浮かぶ島として非常に有名ですが、実際にはどのようにアクセスすれば良いのでしょうか。実際に宮島へ訪れる際の参考にしてみてください。

アクセス情報

宮島に行くのであれば、最終的にはフェリーを利用する必要があります。JR宮島口駅から徒歩3分程度のところにフェリー乗り場があり、そこから船に乗って宮島に向かいます。こちらのフェリーは2社がそれぞれ別のフェリーを運営しているため、非常に便数が多く、平日でもそう待つことなく宮島に向かうことができます。

駐車場は?

島内は基本的に徒歩での移動になるので、本州側のフェリー乗り場周辺に、多数の有料駐車場が用意されています。また、宮島ではキャンプもできるのですが、そういった人たちのために、フェリーに車ごと乗り、そのままキャンプ場まで車で移動することも可能になっています。

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「宮島」の基本情報

名称 宮島
住所 広島県廿日市市宮島町
TEL 0829-44-2011
URL 宮島観光協会公式サイト
駐車場 フェリー乗り場付近に有料駐車場あり(多数)
アクセス JR宮島口駅よりフェリー乗り場に向かい、フェリーで約30分

注意を守って「宮島」観光を楽しもう!

いかがだったでしょうか。宮島に生息している鹿たちが、現在どんな境遇にいるのかについて、おわかりいただけたと思います。餓死してしまうまで放置するのは確かによくないですが、餌を求めて凶暴化したり、観光客に迷惑をかけるのは考えものです。

とは言え、宮島では鹿は神の使いとされている訳ですから、ぜひ餓死せず誰もが納得の行く方法を見つけ出してもらいたいものです。

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この記事のライター
ゆきえ
三児の子育てをしながら兼業ライターをやっています♪ 趣味は旅行で、独身時代は海外もちょこちょこ行っていましたが、...

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