山口「常栄寺雪舟庭」は禅味あふれる日本庭園!御朱印情報も解説!
山口県にある「常栄寺」は、戦国時代に西の京都と呼ばれるほど文化水準を押し上げた大内政弘が水墨画家・雪舟に依頼して造営された「雪舟庭」があります。庭は山口の穏やかな自然の風景に溶け込んだような景色をみせてくれます。そんな常栄寺の魅力について紹介していきます。
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「常栄寺雪舟庭」は山口の常栄寺にある名庭!
山口市宮野常栄寺(雪舟庭)夜 pic.twitter.com/HpcP60oBmw
— スナフキン (@zOqDPWZA7WWinOR) November 24, 2020
水墨画家・雪舟の名前を聞いたことはありませんか?雪舟は、子供の頃にお寺で修業中の身でありながら、お経を読まずに絵ばかり描いていました。そのため、寺の僧侶が彼を仏堂の柱に縛りつけていたところ、雪舟は自分の流した涙で床に鼠の絵をかいており、その絵に感心した僧侶は絵を描くことを許したという逸話の持ち主です。
実際にみる雪舟の絵は、水墨画ながら実写的で綿密な絵柄が特徴の美しい絵を残しています。水墨画以外にも、雪舟が造営したといわれる庭が全国に残っており、山口県山口市にある「常栄寺雪舟庭」は、雪舟四大庭園と呼ばれるほどの庭があります。
国の史跡および名勝に指定!
常栄寺雪舟庭は、1926年(大正15年)に国から史跡・名勝に指定されいます。文化的に非常に価値が高い場所となっています。山口に観光で訪れた際はぜひ足を運ぶことをおすすめします。
「常栄寺雪舟庭」の歴史や概要について
常栄寺雪舟庭の桜、ほぼ満開です🌸 pic.twitter.com/k9pNY1HXDj
— 常栄寺雪舟庭 (@sesshutei) March 30, 2020
まず、常栄寺雪舟庭の歴史や概要について紹介していきます。常栄寺は禅宗のお寺で、禅の心を大切にした心落ち着く場所として知られています。また約500年もの歴史があり、現在も山口市内を訪れた際におすすめする観光スポットとしても大切にされている場所です。
そんな「常栄寺雪舟庭」の歴史や概要について紹介していきます。室町時代末期から受け継がれてきた庭の美しさをしる絶好の観光スポットですので、ぜひ概要を頭に入れてからお寺へ足を運びましょう!
大内政弘の別邸であった
山口市にある常栄寺雪舟庭。大内政弘が別邸として建て、雪舟に命じて築庭したと言われています。 pic.twitter.com/kSN7Dr3X5R
— Everyday お得 (@everday_otoku) September 14, 2020
常栄寺の始まりは、毛利氏が中国地方を治めるまで、山口周辺を治めていた大内政弘が別邸として建てたところから始まります。大内政弘は、亡くなった母のためにこの別邸を寺とし、「妙喜寺(みょうきじ)」としていました。
その後、大内氏の滅亡や毛利氏の台頭、関ヶ原の合戦などの歴史的変遷の中で、いくつかのお寺と合寺します。そして、文久3年(1863年)に、妙寿寺と合寺。「常栄寺」と呼ばれるようになります。
庭は雪舟に命じて築庭
雪舟が築いたといわれる庭は「雪舟庭」と呼ばれ、全国にあります。その中でもこの常栄寺・医光寺(島根県益田市)・萬福寺(島根県益田市)・旧亀石坊庭園(福岡県田川郡)の4つの庭園は、雪舟四大庭園と呼ばれています。
この常栄寺の庭園は大内政弘が、雪舟に庭の造営を依頼したことで実現しました。雪舟は、常栄寺の北側の後庭を造営したといわれ、これが現在の「雪舟庭」です。
雪舟とは?
雪舟は、1402年~1502年(または、1506年と諸説あり)の室町時代に活躍した、水墨画家・禅僧です。備中国(現在の岡山県付近)に生まれ、京都・相国寺で修行した後、大内氏の庇護を受けて周防国(山口県防府市付近)へ移り済みました。
周防国にいる時期に、当時「明」と呼ばれていた中国へ絵を学びに留学しています。帰国後も、周防国を拠点に精力的に創作活動をおこないました。没年もはっきりしていないなど、生涯において不明な点が多い雪舟ですが、彼が描いた絵は、国宝が重要文化財として各地で大切に所蔵されています。
庭園は約900坪の広さ!
今日(11月11日)の常栄寺雪舟庭です( ◠‿◠ )
— 常栄寺雪舟庭 (@sesshutei) November 11, 2020
少しずつ色づいてきました🍁 pic.twitter.com/gBt3fCIdBX
庭園は、本堂の北側にあり、禅味あふれる日本庭園として有名です。その規模は、約30アール(約900坪)の広さで、東西北の三方が山林・南に池泉廻遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)があります。
庭には、注目すべき視点が3つ設けられています。廻遊しながら庭を回ることにより、その視点から新たな景観を見つけることができます。
庭を1周できる遊歩道がある
常栄寺の庭は、池泉廻遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)になっているため広大な敷地の庭をいっしゅうすることができる遊歩道があります。この遊歩道を歩くことで、先ほど紹介した3つの視点を確認していくことができます。
「常栄寺雪舟庭」の特徴と見所は?
常栄寺雪舟庭には、禅味が溢れる庭の様相以外にも、見ごたえのある景観の特徴が多数あります。その見どころにも一つ一つ意味が込められており、その意味を知っていくとその奥深さを更に感じることができますので、おすすめの見どころポイントと特徴を押さえておきましょう。
①本堂から眺めた奥行きや石組
⛳️常栄寺庭園(雪舟庭)③。
— 日本庭園情報メディア“おにわさん” (@oniwastagram) September 28, 2018
「雪舟庭」の特徴は本堂から眺めた際の奥行きの広さ、手前の芝生に埋め込まれた石組み⛰と、池泉の中でもポイントとして引き立てられている石組、そして滝石組。#庭園 #japanesegarden pic.twitter.com/1o86Gpo1dv
雪舟庭を見るときに、まず押さえておきたいのが「本堂からの眺め」です。本堂から池泉の間が枯山水となっています。北側の山畔には連続した石組を配し谷を掘り石橋を架し廻遊路が巡っています。北東部奥深くには瀧石が組まれており、秋芳台を彷彿とさせる景観となっています。
東側には自然をそのまま利用した山腹が景観となって見えるので、庭の敷地以上の奥行きを見せてくれます。
②見応えのある枯滝組
山口の常栄寺に行きました。久しぶりに見る雪舟の庭は改修も進みより美しい姿を堪能しました。滝組への導水用ため池を見学することもできて、庭園を支える土木技術を見ることが出来る庭でもあります。 pic.twitter.com/KHD4kfuhTQ
— 吉田春男 (@hoTIHaJEzDOvvNl) November 3, 2019
常栄寺雪舟庭で、一番のおすすめポイントといえるのが枯滝組です。この瀧は、「登竜門(とうりゅうもん)」という言葉が生まれた中国の「黄河上流にある龍門は流れが非常に急で、ここを上り切る事が出来た鯉は龍と化して天に昇る」故事をモチーフに作られています。
そのため、配置されている石一つ一つに意味が込められており、その意味を知ると、枯滝組がまさにこの故事になぞらえた場面が目に浮かんでくるようになり、鯉に見立てた石が今にも滝を登り切ろうと身構えているように思えます。
③水墨画を思わせる素朴な美しさ!
山口 一人で小トリップ
— 冨田 久文 (@QTPAPA) June 23, 2019
常栄寺 雪舟庭ー雪舟が築庭 pic.twitter.com/Wrv15NruFm
雪舟と言えば、やはり水墨画のイメージが強い人が多いのではないでしょうか?雪舟庭を眺めていると、雪舟が描いた水墨画の場面を切り取ったような眺めを多数見つけることができます。雪舟の水墨画を思い浮かべながら庭を眺めてみるのもいいかもしれません。
④季節によって違った表情が見られる
常栄寺雪舟庭11月10日の紅葉の様子です🍁だいぶ色づいてきました😊そろそろ見ごろですよ( ◠‿◠ ) pic.twitter.com/Yb31tRRMQX
— 常栄寺雪舟庭 (@sesshutei) November 11, 2019
庭を眺めるとき、季節によって変わる風景を楽しむことも醍醐味の一つです。常栄寺雪舟庭も四季を感じさせる植物が多数植えられているため、季節ごとに同じ場所からでも違う景色のように感じることができます。
「常栄寺雪舟庭」の御朱印&体験情報
常栄寺雪舟庭では御朱印が頂けるのと別に、座禅や写経体験ができます。料金など詳細について紹介していきます。興味がある人はぜひ申し込んでみましょう。
御朱印は受付で頂ける!
香山常栄寺雪舟庭
— 御朱印ガール (@airi_gosyuin) March 15, 2018
山口市宮野下2001-1 pic.twitter.com/2YoaKWX5NE
他の神社仏閣同様に、常栄寺雪舟庭で、御朱印をいただくことが可能です。御朱印をいただく際は、受付で尋ねてみてください。
料金&受付時間
御朱印の受付時間は、8:00~17:00までの間になります。ただ、開園直後・閉園直前は準備であわただしくされている可能性もありますので、避けることをおすすめします。御初穂料は300円で紙での頒布となっています。
徳地和紙を使った御朱印帳も!
常栄寺雪舟庭の受付に置かれている御朱印帳にも注目です。山口市に古くから伝わる伝統工芸品・徳地和紙を使った御朱印帳(料金2,000円)が頒布されています。独特の美しい色合いとなっていますので、興味がある人はぜひ手にとってみましょう。
座禅や写経体験もできる!
事前に連絡をしておけば、座禅と写経体験が可能です。座禅では、結跏趺坐(けっかふざ)の足の組み方や姿勢などのレクチャーが行われた後、座禅に入ります。警策(けいさく)と呼ばれる道具で、背中や肩を叩いてもらいます。この行為は、座禅の際に自ら進んで打ってもらうことによって、集中力が高まり、凝り固まった体に刺激を与えてくれます。
写経は、机に向かって一字一字に神経を集中させて文字を映していくことで、心の安定を得ることができます。そんな心のメンタルケアにおすすめの座禅・写経体験をしてみましょう。
体験の料金と予約方法
体験の料金と予約方法について案内します。どちらとも事前予約が必要です。予約の際は、常栄寺に電話連絡をしましょう。受付時間は9:00~15:00となっています。
通常料金 | 所要時間 | 備考 | |
座禅体験 写経体験 |
1,000円/1人 | 1時間 | 10名以上 お寺の行事によっては対応できない場合あり |
「常栄寺雪舟庭」のアクセス&駐車場情報
常栄寺雪舟庭へのアクセスを紹介していきます。JRからは、徒歩で行くことも可能ですが30分近く時間がかかります。少し坂道もあるので、行きはタクシーで向かうことをおすすめします。
アクセス情報
車の場合、中国自動車道の山口ICから車で約10分。山陽自動車道・防府東ICから車で約25分 で到着します。また徒歩の場合は、JR宮野駅で下車し、約25分で着きます。
そしてバスの場合は、JR新山口駅から防府バス山口方面行で約38分、雪舟庭入口停で下車後、歩いて約10分です。最後に新幹線の場合は、JR新山口駅から山口千二乗り換え宮野駅で下車、徒歩約25分もしくはタクシーで約5分となります。
駐車場は?
常栄寺雪舟庭には、専用駐車場があります。車で訪れた場合は、そちらに駐車してからお寺を訪れましょう。
「常栄寺雪舟庭」の基本情報
名称 | 常栄寺雪舟庭 (じょうえいじせゅしゅうてい) |
住所 | 山口県山口市宮野下2001-1 |
拝観時間 | 8:00~17:00 (11月~3月は16:30まで) |
拝観料 | 大人:300円 学生(高・中):200円 小学生以下:無料 |
電話番号 | 083-922-2272 |
駐車場 | 有 |
URL | 公式HP |
備考 | 団体料金割引有 障害者手帳の所持者、付添い1名の割引料金あり |
「常栄寺雪舟庭」で雪舟の水墨画の世界に触れよう!
常栄寺雪舟庭では、雪舟の美的センスや中国で学んだ技法がいかんなく発揮されている庭と言えます。その美しさは、息を飲むほど美しく、眺めていると時間の経過を忘れてしまうほどです。
また、配置されている石一つ一つに、意味が込められており、その意味を知るとまた違う世界に飛び込んだように感じます。ぜひ、常栄寺雪舟庭で、水墨画から生まれた庭の景観を楽しんでみましょう!