うどんと言えば、香川県の讃岐うどんや秋田県の稲庭うどんが有名ですが、実は「うどん発祥の地は福岡ではないか？」と言われています。うどん発祥説については諸説あり明らかにはされていませんが、福岡博多区にある承天寺の境内には「饂飩蕎麦（うどんそば）発祥之地」と記された石碑があるそうです。

この寺を建立した円爾（えんに）が、中国に修業に行った際に宋から製粉技術を持ち帰ったとされています。その後円爾は、うどんをはじめ饅頭、蕎麦などの粉物食文化を日本で広めたとされているようです。そんな福岡うどんは讃岐うどんとは異なり、柔らかい麺が特徴となっています。

うどん発祥の地とも言われている福岡ですが、福岡には有名なうどんの三大チェーンがあります。それが、ウエスト、牧のうどん、資さん（すけさん）うどんです。

どのチェーン店も美味しいと福岡では親しまれている人気店ですが、提供しているうどんには少し違った特徴があるようです。それぞれのチェーン店のうどんを詳しくみてまいりましょう。お店選びの参考にしてみて下さい。

まず最初にご紹介する三大チェーンの1つは“ウエスト”です。ウエストは三大チェーンの中で最も店舗数が多く、その数は60店舗を超えているとか。

福岡県内では、マクドナルドや有名回転寿司店以上に街中いたる所でウエストの看板を見かけることでしょう。また、店舗は福岡県内だけでなく九州、関東エリアにも進出していて、美味しい福岡うどんを提供しています。

ウエストは、1966年に福岡県福津市で開業した老舗うどん店です。24時間、年中無休で営業している店舗が多く、時間を問わず美味しいうどんが食べられると今では福岡県民のソウルフードに。そんなウエストは、先程もご紹介しましたが福岡県内だけでも60以上もの店舗があります。

また、店舗によってはうどんだけでなく、カフェ、焼き肉、居酒屋、中華などの事業も展開しており、様々なシチュエーションで利用できます。そして嬉しいのはうどんのお値段。シンプルな”かけうどん”なら300円で楽しむことが可能です。

福岡うどんの特徴はなんと言っても柔らかい麺と旨味たっぷりの出汁。ウエストも福岡を代表するうどんチェーンとあって、美味しい福岡うどんを堪能することができます。

ウエストのうどん汁は、いりこだしをメインに昆布、サバ、カツオなどで丁寧に出汁をとり、後味さっぱりとした味わいとなっています。観光客には柔らかいうどんと聞くと最初は抵抗があるかもしれませんが、食べてみると柔らかいうどんでも美味しいと評判です。ぜひ、お試し下さい。

福岡うどんは柔らかい麺というイメージですが、ウエストのうどんは意外とコシがあります。讃岐うどんのようなコシではありませんが、三大チェーンの中では一番コシがあるとされています。うどんにある程度のコシを期待している方には、ウエストがおすすめかもしれません。

福岡うどんの定番は、ごぼ天が入った「ごぼ天うどん」です。ここウエストにもメニューにあり、人気メニューとなっています。アツアツの揚げたてのごぼ天が入ってお値段はなんと390円という安さです。

ネギと天かすはテーブル席に設置されセルフサービスとなっているので、好みでトッピングして下さい。また、肉をトッピングすればボリュームたっぷり。甘辛く煮付けた肉と出汁を吸ったごぼ天の相性は抜群なので、ごぼ天だけでは少し物足りないという方はぜひお試し下さい。

ウエストでは、うどんの単品メニューは安いものだと300円から楽しめます。また、定食や丼ものを足しても、1,000円以内でたっぷりと満足感を味わうことができます。お財布には優しいウエスト。24時間営業の店舗を利用して、朝、ランチ、ディナーなど1日の食事のプランに加えてみるのもおすすめです。

続いてご紹介する三大チェーンの1つは“牧のうどん”です。牧のうどんは、1973年に福岡県糸島市で開業し、現在は福岡、佐賀、長崎で18店舗展開しているうどんチェーン店です。牧のうどんのうどんは独特で、「食べてもなくならないうどん」と呼ばれています。どのような特徴があるうどんなのでしょうか？詳しく見てまいりましょう。

まずは牧のうどんの名前の由来からご説明いたしましょう。牧のうどんの“牧”は地名で、地元の人が「牧にあるうどん屋」と呼んでいたことが後に現在の店名である「牧のうどん」へとなったそうです。そんな牧のうどんですが、うどんには大きな特徴があります。麺については後から詳しくご紹介するので、ここではうどんの出汁についてご紹介しておきましょう。

牧のうどんの出汁は少し塩気が強く、たっぷりの利尻昆布、かつお節、うるめいわし節、サバ節を使用し作られています。利尻昆布については、利尻昆布の生産量の約7％は牧のうどんで使用されているとか。旨味たっぷりの出汁は、お代わり自由です。また、出汁で使用された利尻昆布やかつお節は、つくだ煮やふりかけに加工され販売もされているそうです。

柔らかいうどんとして有名な福岡うどん。牧のうどんの麺はどうなのでしょうか？牧のうどんの麺は、見た目は太く硬さも柔らかいのが特徴です。また時間をかけて食べていると、麺が出汁を吸い更に柔らかさは増していきます。これが巷で「食べてもなくならないうどん」と言われている所以です。

麺が柔らかい牧のうどんですが、その理由は麺を茹でる工程に特徴があるとか。一般的なうどんは麺を茹でた後冷水でぬめりを取りますが、牧のうどんではぬめり取りをしていません。そのため、麺は時間が経つとどんどんとふやけていくそうです。

柔らかい麺を好まない方もいらっしゃるでしょう。どうぞご安心を。牧のうどんでは麺の硬さを、硬い麺、中麺、柔らかい麺の3種類から選ぶことが可能です。各テーブルには注文票が置いてあり、その注文票で選択可能です。

コシのあるうどんも捨てがたいですが、福岡うどんは柔らかいうどんとして有名。福岡に来たらぜひ一度は、名物の柔らかいうどんを食してみてはいかがでしょうか？

時間が経つと出汁を吸って、どんどんと柔らかさが増していく牧のうどんのうどん。そのため器には出汁が無くなってくるので、出汁を継ぎ足しながら食べるのが牧のうどん流の食べ方です。

牧のうどんでは、うどんを注文すると一緒に薬缶が出てきます。薬缶の中身はスープ。先ほどご紹介した継ぎ足し用の出汁なのです。

牧のうどんでは、出汁の事をスープと呼んでいます。このスープはお代わり自由なので、好きなだけ楽しんで下さい。また、テーブルには入れ放題のネギ、そして牧のうどんにはうどん屋には珍しい替え玉のシステムもあります。

最後にご紹介する三大チェーンは“資(すけ)さんうどん”です。資さんうどんは、1976年に北九州市で開業し、現在は福岡、佐賀、山口で約50店舗を展開しています。資さんうどん人気No.1のメニューごぼ天は、存在感抜群の長いスティック状のごぼ天がたっぷりと入って美味しいと評判です。

資さんうどんは福岡市内にもたくさん店舗がありますが、やはり開業の地である北九州市ではウエストや牧のうどんをおいて絶大な人気を誇っています。資さんうどんは、元々は北九州市の労働者の人々の食事を満たす為に作られたお店だとか。

そのため、資さんうどんではうどんメニューだけでなく丼物、カレー、ご飯ものなどメニューの種類が多いのが特徴です。また、資さんうどんの名物・ぼた餅もファンが多いそうです。北海道産あずきを100％使用しているぼた餅は、甘さ控えで塩気が強く、うどんを食べた後でも平気で1個は食べられます。お値段は1個130円。お持ち帰りも可能です。

資さんうどんの麺は、うどん、そば、細めん(さいめん)から選ぶことが可能です。資さんうどんならではの細めんは、太さ1.6mmほどの細いうどんです。また、通常のうどんも、他店よりは若干細めだそうです。

他店より細めのうどんを使用している資さんうどんですが、うどんのコシはコシの強い讃岐うどんと柔らかい福岡うどんの中間といったところでしょうか？柔らかすぎずモチモチとした食感が楽しめます。福岡で有名なら柔らかいうどんも試したいと思っていても、柔らか過ぎるうどんに抵抗ある方には資さんうどんがおすすめです。

福岡で人気のごぼ天が乗ったうどんですが、メニューが豊富な資さんうどんでも人気メニューとなっています。資さんうどんのごぼ天はスティック状のもので、スナック感覚で美味しく頂けます。通の食べ方は、うどんの出汁に浸かったトロッとしたごぼ天の食感と出汁に浸かっていないサクサクとした食感と異なった食感を2度楽しむことだそうです。

ごぼ天はトッピングとして別に注文すれば110円、シンプルなごぼ天うどんは430円。一番人気は肉ごぼ天700円だとか。甘辛く煮付けた肉とサクサクとしてごぼ天は最強のコンビだそうです。ぜひ、お試し下さい。

福岡の美味しいと評判のうどんの三大チェーン店、ウエスト、牧のうどん、そして資さんうどんをご紹介しました。柔らかい麺が特徴の福岡うどん。チェーン店ごとに、麺には様々な工夫がされています。普段はコシのあるうどんが好きという方も、福岡に行かれた際には柔らかいうどんも試してみてはいかがでしょうか？