北海道の七夕は8月?その理由や「ローソクもらい」の風習とは?

夏の恒例行事である七夕。一般的には7月7日を指しますが、北海道では少し変わって8月に開催されます。北海道の七夕は本州とどういった違いがあるのでしょうか。北海道の七夕が8月になった理由や由来、各地の七夕祭りの様子などをご紹介いたします。

北海道の七夕は8月?その理由や「ローソクもらい」の風習とは?のイメージ

目次

  1. 1北海道の七夕は何か違う?
  2. 2北海道の七夕は8月?
  3. 3北海道の七夕の風習
  4. 4北海道の七夕祭り
  5. 5北海道の短冊は柳に飾る?
  6. 6北海道の七夕祭りに参加しよう!

北海道の七夕は何か違う?

全国的に七夕といえば7月7日、織姫と彦星が1年に一度出会うとされるその日に笹竹に願いを込めて短冊を飾り、浴衣を着て花火やお祭りを楽しんだりするイベントです。

地域によっては少しずつ風習が異なる七夕ですが、北海道では特に本州に比べて一風変わった風習があるようです。そんな北海道の七夕について、由来やお祭り、お菓子をもらいに練り歩くハロウィンのような風習⁉や柳に短冊を飾る理由などを調べてみました。

独特の風習がある?

花火

北海道の七夕には独特の風習があります。本州と比べ一風変わった風習ですが、今も北海道の七夕の風物詩として時代に合わせて形を変えつつその姿を守っています。本州では耳にすることがない独特な囃し歌も歌われています。

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北海道の七夕は8月?

北海道のほとんどの地域では七夕は8月7日。函館や根室などの北海道一部地域では7月7日が七夕として定められています。

8月に七夕をするのはなぜ?

牧草

ではなぜ北海道は8月に七夕のお祭りが行われるようになったのでしょうか。その理由はカレンダーの暦、新暦と旧暦の関係に由来します。旧暦の7月7日は新暦の8月にあたります。その年によって新暦での日にちは変わってきますが、旧暦から新暦に変わった際、農耕と関係が深い北海道では旧暦の7月7日に合わせて新暦の8月を七夕とした、とあります。

由来は?

機織り

そもそも七夕の名前の由来はどこから来ているものでしょうか。七夕の名前の由来は諸説ありますが、七夕伝説に登場する彦星と織姫が農耕と織物を司るとされているためです。土地にまく種物(たなもの)と織物(はたつもの)から「たなばた」とされたのが由来といわれています。

また、七夕は「七」の日の「タ」と書きますが7日の夜は十五夜(満月)になる手前の「上弦の月」を意味しています。月の満ち欠けは旧暦の軸となる現象。これは七夕の由来のひとつにも繋がっています。

函館や根室は7月

北海道の中でも函館や根室は7月に七夕のお祭りが開催される地域です。これは、貿易港として発展していく中、首都東京に負けないように同じ日である7月になったとの説があります。当時の函館の経済力も垣間見れる話でもあります。また、お盆と七夕は繋がりがあることにも理由があるようです。

七夕とお盆の関係は?

線香

日本では彦星と織姫の天の川伝説が七夕の由来として多く言い伝えられていますが、実は七夕はお盆の始まりの日だということをご存知でしょうか。旧暦の7月7日は新暦の8月7日ごろ。旧暦では七夕はお盆と繋がる行事として捉えられていました。

七夕はお盆の始まりの日

月

先ほどご紹介した「七夕」の由来から、上弦の月の夜はあの世とこの世が半分ずつになるという言い伝えがあり、ご先祖様があの世から帰ってくる日ということで七夕はお盆の始まりの日とされていました。

昔の人たちは七夕頃にお墓などの掃除を始めご先祖様を迎える準備を始めました。ご先祖様が帰ってきてお盆で再び空へ送るという一連の習慣が七夕とお盆の繋がりといわれます。

函館のお盆は7月

寺

函館では七夕に合わせてお盆も7月に定められています。その理由は、北海道の函館では正月を新暦で定めたことに対してお盆が旧暦ではおかしいという反対を受けたのというのがひとつです。

函館八幡宮は函館市の威厳ある神社で、津軽海峡や函館市内を望める場所に位置しています。北海道開拓の神として地元の人たちに崇敬されています。毎年8月には「函館八幡宮」の夏祭りと時期が重なってしまうという理由からお盆も7月にしたとされています。

新暦と旧暦

旧暦と新暦の違いはどういったものでしょうか。旧暦は月の満ち欠けを基準にし、季節とズレがないように太陽の動きも考慮にいれた太陰太陽暦です。新暦は地球が太陽の周りを回る周期を基準にした太陽暦です。

日本では明治5年に新暦に統一されましたが、中国や韓国などはいまだ旧暦でお正月やお盆を迎えます。お菓子などで月とウサギのモチーフが使われる中秋節はこの旧暦で8月15日のことを指します。

北海道の七夕の風習

着物

それでは、ここからは北海道の七夕のお祭りや風習についてご紹介いたします。特に函館には青森のねぶた祭りとのつながりを感じる祭りの由来もあり、本州の七夕と比べても北海道の個性的な七夕祭りに興味がひかれます。

「ロウソク1本ちょうだいな」

昔、北海道の七夕では、子供たちが浴衣を着てロウソクを集めて歩きました。「ロウソク1本ちょうだいな」というのは実際の名称というわけではなく、子供たちがロウソクを集めながら歌う歌の歌詞の一部でもあります。この北海道の七夕の風習は「ロウソクもらい」と呼ばれます。

独特の歌がある

北海道の七夕でロウソクを集めてまわる子供たちが歌う囃し歌は地域によって様々。「ロウソク出-せー出-せーよー。出ーさーないとーかっちゃくぞー。おまけにかみつくぞ」というようにロウソクをくれと歌う歌詞が基本となっています。「かっちゃく」とは北海道弁で「引っ掻く」という意味です。

歌詞は土地によって違う?

小樽

かつてニシン漁で栄えた漁師町や北海道の経済の中心都市であった小樽では「今年豊年」や「商売繁盛」など枕言葉が使われていましたが時代が新しくなるにつれそういった枕言葉的な歌詞は省略され、ストレートに「ロウソクくれ」と歌う地域が多くなったそうです。

他の歌詞として「竹に短冊七夕祭り、大いに祝おう、ロウソク1本頂戴なー」という歌もあります。どちらの歌もロウソクをもらいに歩く姿が浮かぶ歌詞ですね。

ハロウィンに似ている?

ハロウィン

「ロウソクくれなきゃ引っ掻くぞ」という歌詞、ハロウィンの「お菓子をくれなきゃいたずらするぞ」に似ていませんか?今ではロウソクの代わりにお菓子を貰い集める風習に変わり、まさに和風ハロウィンのようなお祭りとなっていますが、北海道では日本にハロウィンがくる以前からこのような風習だったのです。

ロウソクをもらう習慣

ロウソクをもらう習慣というのはねぶた祭りに理由があります。ねぶた祭りといえば青森ですが、実は北海道の一部地域でもねぶた祭りがありました。それについては後ほど解説いたします。

お菓子ももらう

ロウソクをもらう風習が今ではお菓子をもらう風習に変わり、子供たちは今やお菓子をもらうためにロウソクの歌を歌います。風習をしらずに本当にロウソクをあげてしまうと子供たちからドン引きされること間違いなしなのでご注意を。

道南でもねぶたがあった

今では北海道で見かけることが無くなってしまいましたが、北海道南部、特に函館にもその昔ねぶたを引っ張って楽器を鳴らしながら囃し歩く姿があったそうです。

函館の豪華なねぶた

函館では虎、象、英雄などの絢爛豪華なねぶたがありました。4メートル四方を数百本のロウソクで灯し、歌や囃子で賑やかに町を練り歩きましたが、子供たちは提灯を持ちながらロウソクを集めてまわりました。

外国船員も参加

函館は外国船も停泊する貿易の玄関口だったため、外国船員もこの七夕のねぶた祭りに参加したという記録があります。

子供たちが作る額ねぶた

ロウソク

寺子屋の子供たちは大人を真似て、40~70センチほどのねぶたを作り同じようにロウソクを灯しながら引き歩いていたようです。額ねぶたには笹竹を立てそこに五色で作った短冊の飾りを結んでいました。

北海道の子供たちが提灯やカンテラをもって町を歩きロウソクとお菓子を集める風習は治安の悪化や子供たちへの悪影響の懸念から賛否が分かれましたが、今はその姿が地域の文化として次世代に残していこうとする動きが強くなっていっているようです。

最後は海へ流す

波

ねぶたを最後に海へ流すのは、厄や穢れを海や川へ流す灯篭流しが起源とされていて、ねぶたを依代にし、人々が災いや大事な農作業での睡魔を流してしまおうというのが由来といわれています。

七夕祭りのねぶた

北海道で七夕祭りにねぶたが引かれたのは函館特有の習慣でありました。その豪華さは七夕祭りとねぶた祭りが合わさったようだったそうです。江戸時代に大きなねぶたを引く時の掛け声がいまは「ロウソクもらい」の歌の一部にもなっています。

巨大な山車があった?

現存していませんが、函館八幡宮の夏祭りでは巨大な4基の山車が三日三晩町を練り歩いたといいます。その様子はフランスの新聞に載ったほど目を見張るような大きさだったようです。

伝統行事がなくなった理由

炎

明治から昭和初期にかけて函館では1,000戸以上が喪失する大火事が何度か発生しています。その際にねぶたや山車が燃えてしまい、伝統行事が継続できなくなったのではないかといわれています。

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北海道の七夕祭り

浴衣

北海道で盛大に催される七夕のお祭り。ここからは代表的な七夕祭りを4つご紹介いたします。地域振興の一つとして開催される七夕祭りですが、年々工夫と進化が素晴らしく、参加者もどんどん増えています。

①五稜郭タワー七夕祭り

函館の観光名所のひとつ、五稜郭。今の五稜郭タワーは2代目で函館の展望を楽しむのにもぴったりの場所です。五稜郭タワーの七夕祭りでは昔ながらの函館の七夕祭りの通り「ロウソクもらい」を七夕当日(7月7日に)行っています。

「ロウソク1本ちょうだいな」イベント

函館の昔ながらの七夕祭り、「ロウソク1本ちょうだいな」のイベントでは特設コーナーで「ロウソクもらい」の歌を歌ったお子様にお菓子のプレゼントもしているようです。

七夕の函館観光の際にはぜひ現地の七夕祭りを体験してみてください。地元の方でなくても動画の歌を覚えてチャレンジすることができます。

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②帯広七夕祭り

次に紹介するのは帯広市の広小路商店街で行われる七夕のお祭りです。毎年8月の初旬に5日間開催されます。期間中はたくさんの出店が並び、子ども向けのイベントやカラオケ大会など様々な催しものが企画されたくさんの人で賑わいます。

商店街を飾る七夕飾り

仙台の七夕飾りをモチーフに作られた大型の七夕飾りは色とりどりで圧巻です。色々な施設や団体が作るオリジナルの七夕飾りが一同に会します。また、コンテスト形式になっているので毎年どの七夕飾りが賞を取るのかも楽しみのひとつです。

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③小さなふるさとづくり七夕の夕べ花火大会

こちらは北海道ニセコ町で開催される七夕のお祭り。当初は商工会有志による小さなお祭りでしたが、今やステージの出し物、真夏なのに雪で遊ぶコーナーや昔遊びなどたくさんの催しものが集まった賑やかなお祭りとなっています。

2000発の花火

この七夕祭りでは最後を打ち上げ花火が飾ります。2019年には和楽器の演奏と花火がコラボレーションし、8月のニセコの夜空を彩りました。北海道ニセコの大自然も満喫できるお祭りです。

④烈夏七夕祭り

旭川の市民を始め、経済団体や青年会議所などが一丸となって開催する夏の風物詩として1991年の旭川開基100周年を記念して第1回が開催されました。旭川の夏の顔として100年後にも伝わる夏まつりをという想いから年々進化している七夕祭りです。

イベントが盛りだくさん

この烈夏夏まつりではよさこいフェスティバルや和太鼓演奏など盛りだくさんのイベントが企画されています。4基の山車の連行など迫力満点の夏の風物詩です。

⑤銀座七夕祭り

最後にご紹介するのも旭川の七夕祭りです。期間中の土日にはたくさんの催しものや出店などがあり、銀座商店街界隈はたくさんの人で賑わいます。

たくさんの七夕飾りが魅力的!

仙台の七夕祭りを本場とした大型の七夕飾りがこちらでも登場。8月上旬から中旬にかけて色とりどりの七夕飾りは華やかに銀座商店街を彩ります。

北海道の短冊は柳に飾る?

柳

七夕の短冊といえば、笹竹に飾るのが一般的に知られていますが、北海道では柳など竹以外の木にも飾ります。その理由はどういったものでしょうか。

北海道に笹竹がない

笹

北海道で笹といえば「熊笹」が一般的。その理由はあの細長い笹竹は北海道では手に入らないことによります。その点、柳は北海道でも映えているので七夕の短冊飾りに使われたようです。

背の高い笹が育たない

冬

北海道の気候では背の高い笹はなかなか育ちません。笹や竹は元々寒い地方の植物ではないことが理由のひとつです。

冬に地面が凍るから

笹と同じく、竹も北海道では見かけない植物のひとつです。その理由は東北や北海道では寒さで地面が凍るので竹や笹の地下茎が死んでしまうためです。

函館の竹林は本州から来た?

竹

北海道では竹が自生しないと書きましたが、竹林が無いわけではありません。函館では本州から移植した竹が立派な竹林となって現存しています。

柳は笹の代用

北海道では柳に短冊を飾るのが一般的。柳は笹の代用として、またどこにでもある手軽な植物として柳が使われています。家庭でも花屋さんでちいさな柳を買って七夕の短冊を飾っています。

北海道の七夕祭りに参加しよう!

本州とは一風変わった北海道の七夕。8月の北海道は爽やかな暑さで観光として七夕祭りに参加するのも夏の思い出づくりにはぴったりなのではないでしょうか。ぜひ北海道に訪れた際は北海道の七夕祭りを体験してみてください。

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この記事のライター
ぶんゆみ
一人旅、時々現地集合な旅が好きです。海外・国内・ご近所も暇さえあれば飛んでいきます。

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