2019年10月30日公開
2020年02月05日更新
「抜海駅」は日本最北端の木造無人駅!ロケ地として人気の秘境駅とは?
宗谷本線は日本最北端のJRの路線です。その宗谷本線の無人駅、抜海駅をご存知でしょうか。抜海駅は木造でありながらほぼ開業当時の姿で映画やドラマのロケ地として人気の秘境の駅です。現在では外国人観光客も訪れる抜海駅の魅力をご紹介いたします。

抜海駅とは
日本の北の北、北海道の北端エリアにある「抜海駅」をご存じでしょうか?広大な景色の中にぽつんと佇む無人駅。ドラマのロケ地にも使われるこの駅は秘境の駅として近年では外国人も観光に訪れる駅です。廃止の噂もあるのか?そんな抜海駅についてご紹介いたします。
日本最北端の無人駅
抜海駅2014年 pic.twitter.com/eN2tGDMHs0
— 鉄犬好団 (@iron_fist_jnr) October 16, 2019
抜海駅は日本最北端にある木造の無人駅です。抜海駅は北海道の宗谷本線にある駅で住所は稚内市。広大な景色の中にポツンと建っています。
映画やドラマのロケ地として有名
南極物語は特撮なしの邦画の中で初めて見たリアタイ映画で全体的のクオリティが良く何度も飽きない出来だな。 ヴァンゲルスのサントラが良くとりあえず最後のシーン感動する これよりおもろい邦画ないし、今でも古臭くなく見れる高倉健がかっこいいとにかく pic.twitter.com/CRevVTscAB
— シンアナザーカザ (@GodzillaGoku) October 22, 2019
実はこの抜海駅は映画やドラマのロケ地として有名な駅で、ある程度歳を重ねた方はその木造駅舎をきっとどこかで見たことがあるのではないでしょうか。映画「南極物語」(主演:高倉健)、ドラマ「少女に何が起こったか」(主演:小泉今日子)など稚内が舞台の映画やドラマのロケ地として使われていました。
駅名の由来
北海道ではアイヌ語を起源とした地名が多く使用されています。この抜海駅もアイヌ語を起源としていて、「子を背負う もの」といった意味の「パッカイペ」、また、「子を背負う 石」といった意味の「パッカイスマ」が地名の起源で、その地名がそのまま駅名の「抜海駅」となりました。
これは、市街のはずれにある「抜海岩」が子供を背負った姿にみえることからつけられたといわれています。
抜海駅の歴史
ドラマのロケ地にも使われ、日本最北端の木造無人駅である抜海駅ですが実は有人駅であったこともあります。
大正13年に開業
宗谷本線 南稚内ー抜海 間にて。C5530号機が牽引する旅客列車がサロベツ原野を行く。 pic.twitter.com/j6R94QtRkn
— Dr. Slip (@C50110123) October 7, 2019
抜海駅は大正13年に現在の南稚内駅から兜沼駅間の開通に伴い開業されました。抜海駅開業の当時は有人駅でした。
昭和5年天塩線から宗谷本線の駅に
これが宗谷本線 pic.twitter.com/7fU4YuOiYg
— ♨️まるす♨️ (@uraurara4011) October 28, 2019
宗谷本線の駅となったのは昭和5年。それまでは天塩線と呼ばれる路線の駅でした。現在のJR、当時の国鉄(日本国有鉄道)に移管されたのは昭和24年の時です。
昭和61年完全無人の駅となる
夜の無人駅。真っ暗ですね。遠くに信号の灯りが見えます。
— ひろりん△ (@hiroring0323) July 18, 2019
2019.1.4 宗谷本線 抜海駅 pic.twitter.com/s2CYrrRQxV
国鉄に移管された後、昭和52年に抜海駅の貨物取扱の廃止、昭和59年には荷物の取り扱いが廃止され、同年に改札・出札の業務を停止。旅客業務について無人となりました。完全に無人駅となったのは昭和61年です。

抜海駅の魅力や特徴
鉄道に興味持たなかったらこんな辺境の地に来ることは無かったかもしれないし、抜海駅を知り実際に訪れることが出来て実に幸運だった pic.twitter.com/jyc3BU9tbT
— ぽん しゅ (@IchigoExp4) March 15, 2019
様々な業務が廃止され完全に無人駅となった抜海駅ですが、映画やドラマのロケに使用されたり、今だに訪問する観光客がいる理由はどこにあるのでしょうか。
特徴①ほぼ開業時のままの木造駅舎
何年ぶりかの抜海駅。前回はJRできました。やはりいい駅ですね。ちょっとだけマッタリしていきます。#北海道ツーリング#S1000RR pic.twitter.com/vfjniGGi0z
— cyunpei (@cyunpei) July 11, 2019
抜海駅は現在でもほぼ開業時のままの木造駅舎として宗谷本線の現役の駅として存在します。とはいえ、長い冬を過ごす中で劣化していく部分は改修を重ね、改修時期によって材料が違うためパッチワークのようになっています。
特徴②雪国ならではの雪切り室
ホームから駅舎内へは雪切り室?か二重構造。抜海駅を思い出す。 #木造駅舎 https://t.co/X1g9ePPpGS pic.twitter.com/6WIwDGoArG
— supersoya (@supersoya) July 16, 2018
雪国の建物でよくみられる二重扉、雪が中に入らないように設置されたこれを「雪切り室」といいます。雪が降る季節、この雪切り室で雪を払う姿は雪国でよく見かける景色です。日本の北の北にある抜海駅ももれなくこの雪切り室が駅入り口に設置されています。
特徴③貝殻で作られた駅名板
抜海駅
— 鉄道旅図鑑 (@tetudou_bot) September 9, 2019
JR北海道宗谷本線の駅。最北の無人木造駅。駅前に民家が数件あるだけで牧草地が広がっている。劣化によって改修されパッチワークのようになっている駅舎、貝殻を貼り付けた駅銘板、ベンチの横にある1人用ソファ…一度は訪れたい駅である。 pic.twitter.com/Ritwpfz963
抜海駅には貝殻で作られた駅名板がホーム側に飾られています。貝殻が一枚一枚張り付けられた抜海駅の駅名板は人のぬくもりを感じる要素のひとつなのかもしれません。駅から少し歩いた先に日本海の景色が広がる抜海駅。貝殻が使われているのも納得です。
特徴④人の温もりを感じる待合室
抜海駅は完全無人駅ではありますが、駅名板も含めところどころに人のぬくもりを感じる駅です。赤と白が基調の待合室は明るい雰囲気をもち、中は綺麗に清掃されています。訪れた人が座るベンチには座布団が敷かれていてどこかおもてなしの心を感じる雰囲気です。
特徴⑤何もない駅周辺の景色
宗谷本線抜海駅付近通過 pic.twitter.com/FrPEgsDysO
— ほむら??🚞 (@murongxu) August 2, 2019
抜海駅のまわりは本当に何もない景色です。コンビニはもちろん、飲食店や商店もありません。駅前は牧草地が広がり、北海道の広さを感じる景色が広がります。
抜海駅の利用者や現在
#道内全駅めぐり最終章完結編
— ゆうちょに入金 (@riding_rate) July 26, 2019
513駅め(最終訪問駅)
抜海駅
日本最北端の木造駅舎を持つ無人駅。前後の駅からの距離、本数、駅舎や待合室など駅そのものの魅力、どれを取っても申し分ないためここを最終訪問駅とした。
あと8ヶ月で北海道を離れるけれど、この駅には何度でも来たいと思った。 pic.twitter.com/Mfs6y5PmCp
日本の最北端の無人駅、最北端の木造駅舎をもつ抜海駅ですが、利用状況はどのようになっているのでしょうか。
1日の乗降客数
抜海駅は昭和56年当時、利用者数は1日で35人ほどでした。それが平成4年には22人、2011年以降には10人以下となってしまいました。現在では利用者数はかなり少ないものの、定期利用している高校生がいるということです。
廃止の噂はある?
利用者数の少ない秘境駅には常に廃止の噂がついて回ります。ですが、宗谷本線抜海駅にはまだ廃止の噂はありません。少なくても定期利用する方にとっては大事な移動手段だからでしょうか。
近年外国人観光客も訪れる
抜海駅の駅ノート読みながら迎えの電車を待つ。結構おとずれる人が居るみたい。 pic.twitter.com/kG8kBvPjGN
— kokesi (@kokesi_360) August 10, 2019
鉄道ファンや映画ファンが訪れる抜海駅ですが、待合室には訪れた方が想いを綴る「駅ノート」が置かれています。近年では外国からの観光客のメッセージも書かれており、外国人にも人気であることがうかがえます。
抜海駅周辺の観光スポット
ここからは抜海駅周辺の観光スポットについてご紹介いたします。コンビニすらない秘境の駅ですが、自然を楽しむスポットとしては駅周辺にも観光スポットが点在します。
観光スポット①抜海原生花園
抜海駅から徒歩15分。抜海地区の日本海沿いに広がる原生花園です。6月下旬から7月上旬にかけてハマナスの花が咲き誇ります。天気が良ければ利尻島や礼文島を見渡せる海風が気持ちのよい場所です。
抜海原生花園の詳細
【名称】 | 抜海原生花園 |
【住所】 | 北海道稚内市抜海村 |
【アクセス】 | JR宗谷本線・抜海駅から徒歩15分 |
【料金】 | 無料 |
【見頃】 | 6月下旬~7月上旬 |
【開園時間】 | 24時間 |
【参考サイト】 | https://00m.in/RnWzo |
観光スポット②抜海岩陰遺跡
抜海岩陰遺跡、無事到着。
— 🐢🎻☄🐧t.s元とらんね勘桂🌧🌸🍜🎹 (@toranne33) September 26, 2018
伝説はともかく、この岩陰を住居にしていたオホーツク文化人に、思いを馳せる。
小祠がある話も聞いていたのですが、違ったかな?
それともこの稲荷社の抜海神社の事かな。 pic.twitter.com/fSM4RXVOvR
抜海岩陰遺跡は抜海村のはずれにある抜海岩の岩陰にあります。岩の下にある海食小洞窟で、先史時代に生活の場として使われていた跡が残っています。抜海岩は高さ30mほどの小山で、洞窟付近ではオホーツク式土器をはじめ、擦文式土器や続縄文式の土器も出土し、稚内市指定文化財となっています。
抜海岩陰遺跡の詳細
悲しみの地#写真好きな人と繋がりたい #ファインダー越しの私の世界 #α7Ⅱ #フォクトレンダー #北海道旅行 #稚内市
— 近江れん (@OumiRenn) October 30, 2017
(ULTRON21mmにて、走行中の車中より)
抜海岩陰遺跡…
アイヌの悲しいお話のある地です。 pic.twitter.com/WqqFUedulu
【名称】 | 抜海岩陰遺跡 |
【住所】 | 北海道稚内市抜海村 |
【アクセス】 | 抜海駅から徒歩30分 |
【料金】 | 無料 |
【参考サイト】 | https://00m.in/qbKu0 |
観光スポット③抜海港
抜海駅から徒歩30分ほどにある漁港が抜海港です。ここには毎年冬になると流氷にのってゴマフアザラシの群れが訪れます。浅瀬になった波打ち際や消波ブロックの上で休憩するゴマフアザラシを見ることができるかもしれません。
抜海港の詳細
抜海港のアザラシ…( ´ω`っ )3 pic.twitter.com/GHzwcOA73w
— 畑測量設計[稚内] (@hatasoku) November 11, 2018
以下、抜海港の詳細です。平成27年からは冬季のゴマフアザラシ観測所が廃止されているため除雪作業は行われていません。
【名称】 | 抜海港 |
【住所】 | 北海道稚内市抜海村 |
【ゴマフアザラシの越冬時期】 | 11月頃~翌年3月頃 |
【問い合わせ】 | 稚内市建設産業部観光交流課:0162-23-6468 稚内観光協会:0162-24-1216 |
【参考サイト】 | https://00m.in/g9SwM |
観光スポット④オロロンライン
道道106号線 オロロンライン pic.twitter.com/7iFFKHmSpj
— tetuo (@integra_brz) October 20, 2019
オロロンラインは小樽から稚内までの海岸沿いの道をいいます。全長は約380km。日本海沿いの道を走るオロロンラインは目の前に広がる広大な自然を感じながらドライブを楽しめます
天気が良い日には日本海を挟んだ向こうに利尻富士の姿を望み、夕日の美しい黄金岬にも立ち寄ることができます。季節によって姿を変える景観は北海道の自然そのものの景色を実感することができます。
オロロンラインの詳細
【名称】 | オロロンライン |
【全長】 | 約380km(小樽~稚内) |
【走行時間】 | 休憩を含め約7時間 |
【参考サイト】 | https://00m.in/N2wDD |
抜海駅へのアクセス&駐車場
ここからは日本最北端の無人駅・抜海駅についてアクセス方法などをご紹介いたします。稚内には稚内空港があり、最寄の空港は稚内空港になります。抜海駅にお越しの際は稚内空港を利用していただくのが最短です。
抜海駅へのアクセス
以下、札幌と最寄の空港からのアクセスについて解説しています。広い北海道を移動するのはなかなかの距離で宗谷本線は本数がぐっと少なくなるため、旅行プランはしっかりと組んで行かれるのが良いです。
JR電車で行く
札幌から電車で行く場合、所要時間は最短で約11時間です。JR特急は稚内までで、札幌→旭川→稚内→抜海駅と乗り継ぎます。最寄の稚内空港からはリムジンバスで稚内駅に移動して宗谷本線に乗るルートになります。
車で行く
抜海駅到着(車で pic.twitter.com/ueEBeBruw9
— TaK (@Ramdash600) October 13, 2019
車で行く場合、稚内空港からは道道1059号→道道121号→国道238号→国道232号→国道40号→道道510号を通って30分ほど。札幌からは有料道路を利用して約4時間30分。見晴らしのいい道路をひたすら北上する経路です。
駐車場情報
抜海駅は無人駅のため、公共駐車場があるわけではありません。車で訪れた際は周辺の環境や状況を考慮してください。

抜海駅の基本情報
日本最北の無人駅、みんな大好き抜海駅です。この最果て感が堪りませんね。
— ひろりん△ (@hiroring0323) May 9, 2019
2016.3.3 宗谷本線 抜海駅 pic.twitter.com/uyBRiwQ8uh
JR宗谷本線は1日の運行本数がかなり少ない路線になります。訪れる際は公式サイトで事前にご確認ください。
【名称】 | 抜海駅 |
【住所】 | 北海道稚内市抜海村 |
【路線】 | JR宗谷本線 |
【運行本数】 | 1日3本~4本 |
【公式サイト】 | https://00m.in/jaTYp |
宗谷本線の秘境駅「抜海駅」を訪れてみよう
宗谷本線 南稚内~抜海(動画)
— 限りなく影の薄いysd (@meltwater88) September 22, 2019
晴れてるので、利尻島・礼文島が見えた👏👏
#北海道のここがえーぞ
#えーぞ稚内 pic.twitter.com/X9SpP6k9Nn
この記事では日本の最北端の無人駅「抜海駅」についてご紹介いたしました。秘境の駅ではありながら人のぬくもりを感じる「抜海駅」。周辺には遺跡や原生花園など北海道の自然を満喫できるスポットもありますのでぜひ訪れてみてください。
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