「札幌市時計台」はがっかり名所ではない!日本最古の時計塔の魅力とは?

札幌市民憲章は「わたしたちは、時計台の鐘が鳴る札幌の市民です」という一文で始まります。ときにがっかり名所と言われる時計台ですが、札幌のシンボルである札幌市時計台の展示内容や写真撮影スポット、歴史や魅力について「がっかりなんて言わせない!」と力強くご紹介します。

「札幌市時計台」はがっかり名所ではない!日本最古の時計塔の魅力とは?のイメージ

目次

  1. 1「札幌市時計台」とは
  2. 2「札幌市時計台」は街のシンボル!
  3. 3「札幌市時計台」の館内や保管技術
  4. 4「札幌市時計台」の撮影スポットやお土産
  5. 5「札幌市時計台」の詳細情報や駐車場
  6. 6「札幌市時計台」はがっかり名所ではなかった!

「札幌市時計台」とは

「北海道といえば札幌、札幌といえば時計台」と多くの人が思い浮かべる観光スポットがこの札幌市時計台ではないでしょうか。そこで「時計台の正式名称は?」「高さはなんメートル?」「中はどうなってるの?」といった意外に知られていない時計台の魅力をお伝えします。

現存する日本最古の時計塔

世界の時計塔ロンドンのエリザベス・タワー(旧名ビッグ・ベン)に遅れること22年。1881年8月、遠く離れた日本の北の大地でこの時計台が時を刻み始めました。日本に現存する最古の時計塔というだけではなく、約140年以上経った現在でも元気に動き続けている姿を一目見ようと、毎日多くの観光客が国内外から訪れています。

がっかり名所と言われている?

札幌市時計台が「がっかり名所」と呼ばれている理由は、どうやらその立地にあるようです。周囲を道路と高いビルに囲まれ、多くのビジネスマンが速足に通り過ぎて行く。そんな場所に時計台があります。

せっかく写真を撮ろうと思っても、バスや信号機、そして後ろの近代的なビルがどうしても入ってしまうのです。「がっかり名所」と言われるのも仕方ないのでしょうか。

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「札幌市時計台」は街のシンボル!

かつて、札幌で創業した会社が東京に新しい社屋を建てるときに、この時計塔をコピーして再現したことがありした。札幌の街のシンボルというだけではなく、札幌市民の心のシンボルとして親しまれてきた、この札幌市時計台の歴史についてご紹介します。

札幌市時計台の正式名称とは?

札幌市時計台の正式名称は「旧札幌農学校演武場」といい、現在の北海道大学の前身、札幌農学校の演武場として建てられたものでした。演武場とは武道の訓練やその成果を披露する演武が行われる場所で、入学式や卒業式など各種式典にも利用されていました。

演武場は札幌農学校の初代教頭を務めていたクラーク博士が学生たちに兵士としての訓練を行うために発案したものでしたが、明治11年(1878年)建物ができあがったときに時計は設置されていませんでした。

その完成式に出席した開拓長官黒田清隆は屋根の上の鐘楼を見上げ、時計の設置を思いつきます。演武場が「時計台」となるまでにさらに3年もかかったのは、ニューヨークのハワード時計商会から札幌に届いた塔時計が大きすぎて鐘楼に入れられず、時計塔部分を作り直すのに時間がかかったからです。

昭和45年に国の重要文化財に指定

札幌市時計台の完成当初、1階には講義室が置かれたほか、動植物や鉱物類の標本室があり、研究、学習の場でした。2階が演武場、講堂として体育、訓練に使用されていました。

塔時計は明治21年(1888年)に札幌の標準時計となり「農学校の大時計」と呼ばれました。その鐘の音は札幌市内の周囲1里(約4km)四方に響いたといいます。

明治36年(1903年)札幌農学校が現在の北海道大学の敷地に移転し、演武場は札幌区(のち札幌市)の管理となります。3年後、札幌区は演武場を買い上げ150mほど南の現在の位置まで、解体せずにそのまま曳いてきました。もとは札幌農学校の寄宿舎があった場所です。

以来、戦時中を除いて教育・文化活動の場として利用され、札幌市図書館となっていた昭和36年(1961年)には札幌市有形文化財第1号の指定を受けます。さらにその後の復元工事を経て、昭和45年(1970年)には国の重要文化財に指定されています。この時にハワード社製の塔時計も合わせて重要文化財となりました。

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図書館開館によって現在の姿に

昭和25年(1950年)旧演舞場は札幌市図書館となりますが、開館に合わせて屋根が赤、壁が白に塗り替えられ、この時に現在の札幌市時計台の姿が完成しました。それ以前は灰色や薄いグリーンの壁でした。以後、昭和41年(1966年)の閉館まで、多くの札幌市民に利用されています。

1日に156回もの鐘が鳴る

いまでは札幌市のシンボルにとどまらず、札幌市民のアイデンティティの一部になっている鐘の音は、なんと1日に156回も鳴っています。1時に1回、2時に2回…12時には12回の鐘が鳴るので、1から12を全部足すと78回。これが午前と午後の2回繰り返されるので1日に合計156回の鐘が鳴り響きます。

およそ140年間動き続けている塔時計ですが、これまでに修理されたのはワイヤーや欠けてしまった歯車、ネジなど一部の消耗品だけです。19世紀に作られた時計が当時のままの姿で、これほど正確に時を刻み続けているのは札幌市時計台のほか、世界でもわずか数例しかありません。

北海道開拓使のシンボルマークの赤い星

明治時代初期、それまで蝦夷と呼ばれていたこの地を「北海道」と名付け、開発のために札幌に設置されたのが開拓使でした。その開拓使のシンボルとして北極星を元にデザインされたのがこの五稜星、赤い星です。

この星が引き継がれ、現在の札幌市章やビール会社のシンボルマークとして使われています。この他、札幌市内にはこの星のついた建物がいくつもあるので、ぜひ探してみてください。

「札幌市時計台」の館内や保管技術

土台から塔の上まで約20mの高さがある時計塔ですが、中はどうなっているのでしょうか。詳しくご紹介します。

館内1階は大展示室

入場券を買って部屋に入るとコンピューターによる映像展示があり、世界の時計台についての情報や、札幌市時計台を中心に発展した札幌の歴史がわかります。また、札幌市時計台来訪記念として自分の写真を登録できる思い出アルバムがあります。

奥の部屋に入ると目の前に札幌農学校全体の100分の1模型があり、明治10年代の札幌の町並や農学校を写した写真を見ることができます。周りには、演武場と札幌農学校の歴史、その教師と卒業生たちについての展示が並んでいます。

館内2階は演武場

2階が言わばメインホール、演武場となっています。札幌農学校の学生たちがイザという時に屯田兵の指揮官となるべく訓練をしていたのがこの場所です。天井が高いホールとなっているため音響効果がすばらしく、連日音楽関係のイベントが開かれ、札幌市民の憩いの場となっています。時には結婚式が行われることもあるそうです。

舞台に向かって左右には札幌市時計台をはじめとする北海道の近代建築や、当時の時計機械取扱説明書などが展示されています。

時計台の姉妹機が展示!

演武場のうしろには1928年ハワード社製の塔時計が展示され、こちらも動き続けています。時計塔の時計と同じ姉妹機で、塔時計のしくみがよくわかるようになっています。文字盤の直径は167cmもあるので、近寄るとその大きさに圧倒されます。

塔時計は、50㎏と150kgの2つのおもりで振り子を動かしているので、定期的におもりの巻き上げを行わなければ動きません。ここでは毎朝9時15分から、おもりを巻き上げる様子を見学することができます。

動き続ける理由は技術者の深い愛情

昭和初期、実は塔時計の針は止まっていました。札幌狸小路で時計店を営んでいた井上清さんが見かねて塔時計の世話をするようになったのですが、すでに機械が錆びついてしまい動かすことができませんでした。何日もかけて錆を取り、分解掃除をしてやっと、この時計台の鐘が再び札幌の街に響くようになったのです。

清さんのあとを息子の和雄さんが継ぎ、平成26年(2014年)まで親子二代で保守を担当されています。そのお二人が時計機械室に残された言葉がありますのでご紹介します。

井上清氏
「最後の点検怠るな。後世後輩に良き手本を示せ。」
井上和雄氏
「ベテラン必ずしもベテランならず。慣れがミスを呼ぶ、初心忘るべからず。」
「点検の基本 1.目で見る 2.音をきく 3.臭いをかぐ 4.触って見る」

札幌市時計台への愛着とお二人のあとを継いでくれる人たちへの愛情が伝わってきます。優れた技術と伝統によって長き年月守られてきていることが伝わってきますね。

知識豊富なボランティアガイド

札幌市時計台は、井上さん親子をはじめとする、多くのボランティアに支えられてきました。現在の時計台ではボランティアガイドが観光客のみなさんに、札幌農学校や時計台の歴史などの展示について詳しく説明しています。

どなたも知識豊富でサービス精神にあふれた方ばかりです。札幌市時計台には行ったことがあるという方でも、さらに詳しいお話を聞きにもう一度行かれてはどうでしょうか。

「札幌市時計台」の撮影スポットやお土産

国の重要文化財に指定された理由の一つが「北海道における明治洋風木造建築の代表的なもの」という理由でした。この美しい建築物を上手に写真に収められるスポットをお教えします。ライトアップやおすすめの札幌市時計台のお土産についても合わせてご紹介します。

定番写真撮影スポット4選!

①時計台南西側のお立ち台

時計台正面に向かって右手の南西角。なんと言ってもお立ち台が設置されている、言わば公式、一番人気の撮影スポットです。撮影のコツは敷地内で下から上を見上げるように撮ること。そうすることで時計台と後ろのビルの重なりが少なくなってすっきりします。

さらに少し時計台に近づくと、空を背景にした時計台を写すことができます。少し左右に動いて、時計台の手前に木の枝を入れると写真に立体感が出ます。さらに季節によっては、ライラックの花や紅葉が美しい彩りを添えてくれます。

②時計台撮影プラザ

次のおすすめは、時計台正面の道路を挟んで向かい側のMNビル2階「時計台撮影プラザ」です。時計台側がテラスになっていて、自由に写真を撮ることができます。時計台正面の全景を撮ることができるのはここだけなので、ここも人気の撮影スポットです。

③札幌市役所

札幌市時計台のすぐ南側にある、札幌市役所もおすすめの撮影スポットです。正面ではありませんが建物の全体を撮影することができます。こちら側からは時計台の建物がどんな形をしているのかがよくわかるのでおすすめです。

④札幌市役所本庁舎19階「展望回廊」

もう一つのおすすめスポットは、札幌市役所本庁舎の19階にある「展望回廊」。入場無料です。ここからは札幌市時計台全体を見下ろせるので、ひと味違う写真を撮ることができます。まだ大丈夫だとは思いますが、観光客にもだんだん知られてきているので、今のうちに撮影しに行った方が良いかも知れません。

夜のライトアップの写真が綺麗!

もうひとつ最後に、ライトアップされた札幌市時計台もたいへんな美しさです。ライトアップは年中365日行われており、日没から21:30までとなっています。冬場の寒さは風が吹くと想像以上になるのでお気をつけください。札幌の有名な夜景スポットはこちらをチェック!

お土産は札幌市時計台ショップで!

札幌市時計台の1階にあるショップではいろいろな時計台グッズが販売されています。なかでも注目は札幌市時計台のゆるキャラ「とっけ」。札幌市時計台そのままの姿をした可愛いキャラなので、女性や子供を中心に人気上昇中です。

こちらは同じく札幌市時計台のゆるキャラ時計大臣。テレビ塔のテレビ父さんのお友達ということです。この他にも「クラーク博士の珈琲」なども定番。また新しいグッズができているかもしれません。札幌市時計台に行ったら必ずショップにも立ち寄ってみてください。

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「札幌市時計台」の詳細情報や駐車場

札幌市時計台の基本情報

名称 旧札幌農学校演武場
住所 札幌市中央区北1条西2丁目
開館時間 8時45分~17時10分(ただし入館は17時まで)
休館日 年始(1月1日~3日)
観覧料 大人200円、高校生以下無料、その他、団体・障がい者等割引あり
アクセス JR札幌駅より地下歩行空間を大通方面へ約10分 9番出口
地下鉄南北線、東西線、東豊線大通駅下車市役所側出口徒歩5分
駐車場 なし
公式HP http://sapporoshi-tokeidai.jp/
備考 平均的な滞在時間は約1時間

おすすめの駐車場4選!

札幌市時計台には駐車場がないので近隣の駐車場を利用することになります。おすすめ順にあげておきますので、駐車時間など具体的な利用方法にあわせて参考にしてください。

駐車場①タイムズステーションさっぽろ創世スクエア

住所 北海道札幌市中央区北1条西1-6
距離 建物出口から徒歩3分
収容台数 287台
制限 長さ5m、幅1.9m、高さ2.1m、重量2t
料金 08:00-20:00 60分 400円
20:00-08:00 60分 100円
駐車後24時間 最大料金1800円
営業時間 24時間
備考 ※安くて近くて24時間。 収容台数が多くて安心。ハイルーフOK。

駐車場②すみれパーキング

住所 北海道札幌市中央区北1条西2丁目1
距離 徒歩2分
収容台数 62台
制限 外車×、ワンボックス×
長さ5.05m、幅1.85m、高さ1.55m、重量1.85t
料金 30分 ¥200
営業時間 08:00-22:00
備考 ※ 近くて安い。タワー形式でハイルーフ・外車NG。

駐車場③STVタワーパーキング

住所 札幌市中央区北2条西2丁目16-1
距離 徒歩3分
収容台数 132台
制限 普通車  長さ5.30m、幅1.95m、高さ1.55m、重量2.50t
ハイルーフ長さ5.30m、幅1.95m、高さ2.00m、重量2.50t
料金 普通車  1日 1300円 60分400円(以後30分毎 200円)
ハイルーフ1日 1600円 60分500円(以後30分毎 250円)
宿泊料金 1000円
営業時間 07:30-23:00(日祝は22:00まで)
備考 ※ 安くて近い。収容台数が多い。ハイルーフOK

駐車場④タイムズ大通タワー

 

住所 北海道札幌市中央区大通西4
距離 徒歩7分
収容台数 29台
制限 長さ5m、幅1.8m、高さ1.5m、重量1.6t
料金 08:00-20:00 30分 200円 最大料金1200円 
20:00-08:00 30分 200円 最大料金 600円
営業時間 08:00-20:00
備考 ※少し歩くがテレビ塔・大通り公園を合わせて観光するなら最大料金が安い

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「札幌市時計台」はがっかり名所ではなかった!

江戸時代までの日本では、日の出から日没の間を6つに分ける不定時法が使われていたため、現在の24時間を等しく分割した時刻に合わせて生活する習慣がありませんでした。

この時計台が毎正時60分ごとに札幌中に告げる時鐘はまさしく新しい時代を伝える鐘の音でした。「がっかり名所」と言われることもある札幌市時計台ですが、この時計台を中心に札幌の近代化が進み、現在のような大きな街となって近代的なビルが建つようになったのです。

このように考えてみると、札幌市時計台の果たしてきた役割の大きさを感じられます。1分1秒と言う時間の感覚さえ知らなかった私達日本人が、この札幌のような大都会を作るようになったのです。その素晴らしさを胸に留めてこの札幌市時計台を見上げてみてください。

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