青森「階段国道339号線」は車が通れない唯一の国道!誕生の由来とは?

「階段国道」は、日本で唯一、車もバイクも通ることができない、世にも珍しい国道です。正式名称は「国道339号線」ですが、ここを訪れる人たちの間では「階段国道」と呼ばれて親しまれています。なぜ階段国道が国道として指定されているのか、その謎に迫ります。

青森「階段国道339号線」は車が通れない唯一の国道!誕生の由来とは?のイメージ

目次

  1. 1青森の観光スポット「階段国道339号線」とは
  2. 2階段国道の魅力と見所
  3. 3階段国道周辺の観光スポット
  4. 4階段国道の詳細情報
  5. 5日本で唯一の階段国道を観にいこう!

青森の観光スポット「階段国道339号線」とは

青森の有名観光スポットである「階段国道339号線」を知っていますか?国道でありながらなぜか車もバイクも通れない、日本にたった一つの奇抜さが人の目を引き、今では一大観光スポットとなっている国道です。青森の弘前市から津軽海峡に至るまでの127kmの道が、国道339号線に指定されています。

別名「階段国道」「竜泊ライン」とも呼ばれるこの国道が、なぜこんな風に一大観光スポットと呼ばれるまでになったのでしょうか。ここでは、階段国道が作られた経緯や見所、階段国道の周辺観光施設、階段国道へのアクセスについてご紹介します。

階段国道が作られた経緯

そもそも階段国道は、1974年に国道339号線に指定されました。当時坂道だったこの道には、中腹あたりに小学校や中学校が存在していたそうです。これらの学校に通う子供たちの通学を楽にするために、という理由で、指定されたと言われています。

国道339号線に指定された当初から、坂の下から中腹にかけての階段は存在していたそうなのですが、国道指定後の1980年代に、坂の上から中腹にかけての下り坂にも階段が設けられ、確かに通学は楽になったと言えます。

実は、階段国道を国道339号線に指定するにあたり、車なども通れるように拡張させる、という検討がされたということも言われています。しかし、当時から坂の勾配がきつすぎたことから、改良されることなくそのまま階段と坂道のみの道で国道に指定されてしまった、とのことです。

国道に指定された後に、坂道のみだった箇所にも階段が整備され、今のような形になったことから、いつしか「階段国道」と呼ばれるようになったということですね。

なぜ階段が国道になったのか

ちなみに、なぜ階段と坂道のみだったこの道が、国道に指定されたのでしょうか。車も通れないような道が、国道に指定できるものなのでしょうか。

結論からすると、国道に指定するための要件として道路条件や状態に特に規定はないそうです。なんとなく「国道」と聞くと、少なくとも車やバイクが通れる大きな道、というイメージがありますが、必ずしもそんな道ばかりではない、ということですね。

ただ、こうした車もバイクも通れない「階段国道」のような国道は日本にたった一つしかない、ということもあって、巷では様々な噂が流れています。

なぜ階段国道を国道339号線に指定したのか、という経緯として特に有名な3つの説について、ご紹介しようと思います。もしかしたら、この中に階段国道誕生の真実があるかもしれません。

現地を見ずに国道に指定した説

まず、階段国道誕生の経緯として、最も有名な説が「担当の人たちが現地を見ることなく、国道に指定してしまった」という説です。国道を指定する担当の役人が、現地を見ることなく、地図上だけで国道に指定したため、このような状態の国道ができてしまったという説ですね。

国道に指定した後、実は車も通れないような道だったということに気づいたが、今更どうにもできない…というような、いかにもお役所がやりそうだというイメージがぴったりだったのか、この説が最も有力なものとして広く知られています。

青函トンネル工事説

次に、近くにある青函トンネルに由来する説です。階段と坂道しかない、狭い道路だと知ってはいたものの、指定当時に近くの青函トンネルを工事するためにバイパス道路を建設する予定があったため、暫定的に国道に指定された、というものです。

1つ目の説ほど有名なものではありませんが、実際青函トンネルの工事が1961〜1987年だった、ということで、階段国道が339号線に指定された時期とも一致しており、いかにももっともらしいということで、この説も有力視している人が多いようです。

元々は階段がなかった説

最後に、実は真実に最も近い説がこの「元々階段はなかった」という説です。国道としてこの道を指定した当時には階段がなく、ただの急な坂道だった、というものですね。国道として指定された後、近隣の学校に通う生徒たちのために、階段が整備されたそうです。

実は国土交通省の東北地方整備局HPで、ほぼこれに近い回答が公開されています。重要な路線であることから国道に指定され、実は当時から整備の必要性があると言われていたようです。

しかし、近くの林道が先に整備されたことで整備の緊急性が低くなり、現在も「階段国道」として残っている、ということで、現在の形で残っているとのことでした。

階段国道の魅力と見所

このような経緯のある階段国道ですが、今ではとても珍しい観光地として多くの観光客が訪れています。階段区間を整備して車も通れるようにする案が出された際、「今のままのほうが観光名所になるから」という理由で却下された、という噂もあるくらい、今でも多くの人に愛されています。

この階段国道を訪れる観光客のために無料送迎バスまで用意されている、そんな階段国道の魅力や見所について、ご紹介します。

国道標識、通称「おにぎり」

まず、階段国道の入り口にある標識についてです。「竜飛崎灯台」というバス停の近くに、階段国道の下りに入る入り口があるのですが、ここに国道の証である国道標識が立てられています。

この国道標識は、先端が少し丸くなっていることから通称「おにぎり」と呼ばれており、階段国道を訪れる多くの観光客が、こぞって撮影スポットとして選ぶ名所でもあります。

高低差70mから眺める絶景

また、この階段国道は階段の上から下までの高低差が70mもあり、一番上から眺める景色は絶景です。国道の入り口付近からは、階段国道の出口である竜飛漁港を見渡すことができます。また、その先には石川さゆりさんの名曲でおなじみの津軽海峡も見渡せます

さらに、海の向こう側には天気がよければ北海道の島影まで見ることができる、ということで、ツーリング愛好家の間でも階段国道はかなり人気の絶景スポットとなっています。

車もバイクも通れない国道

さらに、やっぱり階段国道の一番の魅力は車もバイクも通れない、という珍しさです。階段の横には、一応自転車を押して上り下りできるよう、簡易的なスロープはありますが、基本的には人が歩いて通るだけの道が、最初から最後まで続いています。

この「なぜここが国道に指定されているのか?」という不思議な感覚そのものが、階段国道が多くの観光客に愛される一番の魅力となっていることは間違いありません。

狭い民家の裏路地を歩く「酷道」

ちなみに国道339号線は、国道と呼ぶにはあまりにも狭く、「国道」ならぬ「酷道」として有名な道でもあります。階段国道はそもそも国道に指定された理由が「重要な道だったから」という理由だったので、仕方ないのかもしれませんね。

また、何度も国道としてもっと整備しようという話が持ち上がっているにも関わらず、なぜか今まで車が通れるような道として整備されてこなかったことも、「酷道」と呼ばれている所以なのかもしれません。

階段国道周辺の観光スポット

階段国道自体も青森の有名な一大スポットとして人気を博していますが、実はこの階段国道の周辺にも見応えのある観光スポットはいくつも存在しています。

今回は、その中でも特に有名な観光地を5つ、ご紹介しようと思います。中には、一部の人たちの間で「聖地」とまで言われているような箇所もあるので、是非一度は足を運んでみてくださいね。

また、階段国道自体には駐車場は用意されていませんが、これら近隣の観光地には駐車場が整備されているところもありますので、移動の際には是非、車の利用をおすすめします。

階段国道にも駐車場はないのですが、隣接している観光地に無料で利用できる駐車場が整備されていることを考えると、階段国道の観光自体にも、レンタカーなどを利用するのがいいかもしれませんね。

①龍飛埼灯台

まず1つ目は「龍飛埼灯台」です。「たっぴさきとうだい」と読み、日本の灯台50選にも選出されている、とても有名な灯台です。階段国道を下りきった先にある岬に立っている灯台です。

この灯台は、すぐ目の前に広がる津軽海峡を渡る船が安全に運行されているかどうかを見守るのに一役買っており、特に夕方の夕日が沈む様が非常に美しい灯台でもあります。天気や良ければ、青森の先に広がる北海道を見ることもできるので、是非天気の良い日に訪れてみてください。

②竜飛崎

次に「竜飛崎」です。「たっぴざき」と読み、「竜飛岬」「竜飛埼」などと表記されることもあります。先ほどご紹介した、「竜飛埼灯台」のある岬で、津軽国定公園の一部でもあります。

東北楽天ゴールデンイーグルスの公式球団歌や、石川さゆりさんの名曲「津軽海峡冬景色」などにも登場してくるとても有名な岬で、設置されている石碑にある赤いボタンを押すことで、「津軽海峡冬景色」の曲が流れてきます。

アニメ「CLANNAD AFTER STORY」の聖地

ちなみにこの地は、京都アニメーションで制作されたアニメ「CLANNAD AFTER STORY」の聖地としても有名です。特に主人公の男性と主人公の祖母が相対するシーンは、アニメの中でも名場面だと言われており、多くのファンが聖地巡礼として訪れています。

最も、竜飛崎だけが聖地ということではなく、青森の至るところがアニメの中で登場していますので、聖地巡礼にはもってこいの場所でもあります。他の聖地と合わせて、このアニメの聖地巡礼旅として訪れている人も多数存在しています。

「CLANNAD AFTER STORY」の聖地巡礼は、ネット上でも多くの人が行っています。東北新幹線の八戸駅からJR津軽線の電車内、特別急行列車「スーパー白鳥」車内、大湊駅、陸奥横浜駅…と来て最後に竜飛崎、という聖地巡礼ルートが主流のようです。

比較してみると、景色も一致しているところが多々あり、まさに聖地という言葉がぴったりの場所となっています。「CLANNAD AFTER STORY」好きの方であれば、是非一度訪れていただきたい聖地です。

③青函トンネル記念館

階段国道の上から見える津軽海峡の下には、青森と北海道をつなぐ青函トンネルがありますよね。このトンネルの開通記念として作られたのが、青函トンネル記念館です。世界最長の地下トンネルで、なぜこんな巨大なトンネル建造に成功できたのか、その過程を映像やパネルで展示しています。

また、ケーブルカーで実際に海面下140mまで下り、実際に使われた作業坑が見学できる「体験坑道」は圧巻です。青森に訪れた際には、是非訪れていただきたい観光名所の一つです。

④碑の岬

竜飛岬には、非常に多くの石碑が建てられています。有名な小説家である太宰治の小説「津軽」の一文が刻まれた「太宰治文学碑」、川柳作家である川上三太郎の句が刻まれた「川上三太郎句碑」など、数々の石碑が飾られているのです。

そのため、竜飛岬は別名「碑の岬」としても有名で、国道339号線の終着点にあるということもあり、多くの人が訪れています。無料駐車場が整備されているということもあり、車やバイクであればアクセスも良好です。

⑤竜飛埼温泉

階段国道や竜飛崎など、青森の先端にある観光名所を巡った後は、是非竜飛埼温泉に浸かってその疲れを癒してください。階段国道の近くにある「ホテル竜飛」は、竜飛埼温泉を楽しむことのできるホテルとして観光客に非常に人気が高い宿となっています。

階段国道とホテルを往復できる無料送迎バスが出ていますので、ホテルから階段国道に向かうのもいいですし、階段国道や周辺の観光を楽しんだ後にホテルで温泉に浸かる、という楽しみ方もできます。アクセスの良さが何よりも人気の秘密かもしれませんね。

階段国道の詳細情報

ここまで、階段国道にまつわる様々な話や周辺の観光名所についてご紹介してきましたが、実際に階段国道にはどのように行けば良いのでしょうか。階段国道自体は車やバイクで通れなくても、そこまでのアクセスはどのようにすれば良いのでしょうか。

ここでは、階段国道に向かうまでのアクセスや階段国道へ観光に向かう際の注意事項について、説明していこうと思います。

冬期間は閉鎖あり

まず注意しなければならないのが、「階段国道は冬の時期になると閉鎖されてしまう」という点です。国道なのになぜ、と思う人も多いと思いますが、これは仕方のないことでもあります。階段国道は青森の先端、津軽海峡のすぐ側にあるため、冬の時期になると道が凍結してしまうためです。

2019年度の階段国道の閉鎖期間ですが、2019/11/15 17:00〜2020/4/25 12:00が予定されています。この期間に階段国道に向かっても、実際に通り抜けることができませんので注意してくださいね。

アクセスは?

階段国道に向かうまでのアクセスですが、実は階段国道自体のアクセスはあまりよくありません。基本的に施設などがなく、元は単なる国道である、ということもあると思うのですが、基本的には車やバイクを利用したアクセスが最も便利です。

近隣の駅などからレンタカーなどの車を借りて向かえば、アクセスも良好で留める場所も多く用意されているので便利です。また、先ほどご紹介した「ホテル竜飛」からであれば無料送迎バスも出ていますので、ホテル利用者であればこちらのバスを利用するのも良いと思いますよ。

【駐車場】 現在は、竜飛岬側に大きな無料駐車場が整備されています。
また、竜飛漁港側でも駐車場はありますので、駐車は可能です。
【アクセス】 ▼レンタカーを使用した場合▼
新青森駅もしくは奥津軽いまべつ駅より、海沿いの国道339号線を道なりに進む
※なお、青森方面から向かった場合、竜飛漁港周辺は階段となっているので注意

▼無料送迎バスを使用した場合▼
「ホテル竜飛」利用者であれば、無料送迎バスを使用可能

▼地域のコミュニティーバスを使用した場合▼
新青森駅もしくは奥津軽いまべつ駅からJR津軽線に乗り換え三厩駅まで行く
→そこから、外ヶ浜町営循環バスに乗り、終点の竜飛崎灯台で下車

駐車場は?

アクセス自体は車やバイクがおすすめとお話ししましたが、現地にも駐車場が整備されているので、駐車場問題も特に気にしなくて大丈夫です。近隣に青函トンネルがあって、そのまま北海道に向かうこともできるので、バイクでのツーリング旅の途中に寄る人も多いですね。

竜飛岬側には大きな無料駐車場が整備されていますし、反対側にも観光客用に駐車場が用意されていますよ。駐車場を利用する場合、階段国道を往復しなければならないという問題が出てくるので、帰りが下りになる竜飛岬側の駐車場を利用するのがおすすめです。
 

階段国道の基本情報

【名称】 階段国道
【住所】 東津軽郡外ヶ浜町三厩龍浜
【参考サイト】 https://www.aptinet.jp/Detail_display_00000413.html
【問い合わせ先】 0174-31-1228
【備考】 ・冬期は閉鎖期間あり

日本で唯一の階段国道を観にいこう!

日本でたった一つしかない階段国道の魅力、お分かりいただけたでしょうか。なぜ車もバイクも通れないのに国道なのか、なぜこんなに多くの人々に愛されているのか、など、階段国道に関する様々な謎が、この地を魅力的に見せているのかもしれません。

青森に観光に来る際には、是非車やバイクを利用して、階段国道まで遊びに来てみてください。様々な「なぜ?」が、あなたを出迎えてくれるはずです。

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この記事のライター
ゆきえ
三児の子育てをしながら兼業ライターをやっています♪ 趣味は旅行で、独身時代は海外もちょこちょこ行っていましたが、...

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