世界遺産「尚古集成館」は産業革命の舞台!島津家の歴史や薩摩切子に触れる!

尚古集成館は、幕末に薩摩藩主島津斉彬が富国強兵策として建てた金属加工や蒸気機関の修理などを行う機械工場で、最古の洋式工場建築物として知られ、世界遺産に登録されています。今回は、尚古集成館周辺の仙巌園などの見所やお土産におすすめの薩摩切子などと共に紹介します。

世界遺産「尚古集成館」は産業革命の舞台!島津家の歴史や薩摩切子に触れる!のイメージ

目次

  1. 1世界遺産「尚古集成館」とは
  2. 2「尚古集成館」本館の展示
  3. 3「尚古集成館」別館の展示
  4. 4「尚古集成館」周辺の見どころ
  5. 5「尚古集成館」の詳細情報
  6. 6「尚古集成館」へ薩摩魂を感じに行こう!

世界遺産「尚古集成館」とは

尚古集成館

出典:https://www.flickr.com/photos/yicheng/16428482167/sizes/l/

尚古集成館は、幕末に薩摩藩主島津斉彬が富国強兵策として、慶応元年(1865)に建てた金属加工や蒸気機関の修理などを行う機械工場で、現存する歴史ある最古の洋式工場建築物として知られています。

そして尚古集成館は、平成27年(2015)には「明治日本の産業革命遺産」の 構成資産として世界遺産に登録され、現在は、島津家の歴史や集成館事業を紹介する博物館として多くの観光客が訪れ、島津家に関連したお土産やグッズも販売されています。

明治日本産業革命の舞台

19世紀後半から20世紀の初頭にかけ、日本は工業立国の基盤整備に取り組み、その後、日本の基幹産業として重要な位置づけとなる造船や製鉄・製鋼、そして、石炭と重工業において急速な産業化を成し遂げることとなりました。

そして、西洋から日本独自の産業化への取り組みが成功したことを示す重要な産業遺産群が、平成27(2015)年に、島津家が創設した旧集成館(現・尚古集成館)や旧集成館機械工場を含む「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」として世界遺産に登録されています。

島津斉彬が造らせた最古の様式工場

幕末に活躍した薩摩藩主島津斉彬は、西欧諸国のアジア進出に対応し、軍事だけではなく産業の育成を重点的に進め、他藩に先んじて富国強兵に取り組みました。そして、鉄製の大砲を建造するための反射炉や、ガラス工場などを次々に建設し、これらの事業の中心となったのが、磯地区に建てられた工場群「集成館」です。

島津家の歴史や薩摩切子に触れる

尚古集成館には、隣接するレトロな洋館の島津薩摩切子ギャラリーショップ磯工芸館があり、薩摩切子をはじめ薩摩の工芸品が並び、併設の工場では、色鮮やかで繊細なカットが美しいと評判の薩摩切子の製造工程を見学したり、また、この薩摩切子はお土産として購入することもできます。

薩摩切子は、島津家27代斉興の時代に薬品を入れるためのガラス器の研究が始まりで、その後、薩摩藩のガラス製造へと繋がっています。そして、28代斉彬が藩主になると、独自のアイデアによって着色したガラスの製造に取り組み始め、色を被せたガラスの器に個性的なデザインのカット文様をほどこした「薩摩切子」が生まれることとなりました。

その後、島津家の「集成館」において、本格的なガラス製造が始まることとなります。また、磯工芸館として利用されている建物は、去る平成11年(1999)8月23日に国の登録有形文化財に登録されています。

「尚古集成館」本館の展示

尚古集成館本館

出典:https://www.flickr.com/photos/143073636@N03/32892759418/sizes/l/

尚古集成館本館の展示は、幕末当時に海洋国家として隆盛を極めた薩摩藩の海の交流を紹介する展示や、薩摩に醸成された独特な精神世界と独自の文化を紹介する展示、そして、集成館事業と近代化のあり様を体感できる展示のコーナーに分かれています。

尚古集成館の集成館事業の近代化のあり様を体感できる展示コーナーでは、集成館事業の象徴である鉄製の大砲を鋳造するために築かれた反射炉などが展示されており、幕末当時に勢いのあった薩摩藩の息吹を感じることができます。

尚古集成館のシンボル「反射炉」「薩摩切子」

尚古集成館の展示では、シンボル展示として島津斉彬が行った近代化事業の中から、富国強兵策の象徴である鉄製の大砲を鋳造するために築かれた反射炉と、今では鹿児島を代表するお土産として有名になっている薩摩切子が紹介されています。

島津斉彬は、ガラス製品を量産するために工場を建設し、幕末当時は100名もの職人が働き、贅沢品から日用品まで幅広く製造していたと記録に残っていますが、1858年に斉彬が亡くなると工場は縮小。しかし、近年1986年になると、島津興業が磯にガラス工場を建設し、薩摩切子の製造を開始し現在に至り、お土産品として販売するようになっています。

海洋国家薩摩と島津家の歴史

欧米列強がアジアを植民地化しつつある中、日本の南端にある薩摩藩は,この欧米列強から侵攻されるのではという脅威にさらされている地域であったことから、この脅威に対抗する軍備強化の必要性を感じていました。そこで薩摩藩では1840年代に島津斉興のもと、ヨーロッパの科学技術を導入して海防体制の強化が図られました。

そして1851 年に藩主となった島津斉彬は、ヨーロッパ諸国と対等な関係を築くため,産業の育成や、社会基盤の整備にも力を入れ、集成館事業を興し、その後も島津家により引き継がれた事業は、明治になって日本の近代国家の規範となり、現在に至っています。

島津家が育んだ文化

島津家は独自の薩摩文化を育んだことでも知られており、歴代の藩主は、様々な文化に興味を抱き、学問を始め、音楽や芸能、茶道、美術などを発展させていきました。

中でも、茶道を愛でた島津義弘が、朝鮮出兵の際連れ帰った朝鮮人の職人たちに作らせた薩摩焼、島津斉興が中村製薬館を創設した際に、江戸から呼び寄せた硝子師に薬瓶をつくらせたことにはじまるガラス製造が有名で、このガラス製造を島津斉彬がさらに進化させた薩摩切子が有名で、お土産としてもおすすめです。

集成館事業と近代化

薩摩藩では、欧米列強からの侵攻の脅威に対抗するため、1840年代に、ヨーロッパの科学技術を導入した上で、藩を守るための強化を図り、さらに島津斉彬は、その取り組みを進め、磯に反射炉やガラス工場などを建て、その施設に対して「集成館」と名付けました。

そして斉彬は、この地を中心に、造船や造砲・ガラス製造・紡績・写真・電信など沢山の事業を展開していきます。その遺志は久光に引き継がれ、薩摩藩は日本では最先端の工業施設や技術力を持つこととなり、集成館は近代産業隆盛の基礎を築いたと言われています。

「尚古集成館」別館の展示

尚古集成館別館

出典:https://www.flickr.com/photos/toranosuke/15314541466/sizes/l/

尚古集成館には、本館、別館があり、本館の展示は機械類の産業資産関係、別館は、島津氏や薩摩藩に関連する展示が行われています。また別館は、本館とは異なる趣向で、季節ごとに様々なストーリーを生み出す展示になっており、それぞれに違った楽しみ方ができるのも魅力です。

季節にあわせた特別展示

尚古集成館別館のこれまでの展示内容を挙げると、季節ごとに、「薩摩藩主島津氏展」、「戦国大名島津氏展」、「薩摩とイギリス」、「海洋国家薩摩展」、「姫たちが愛したもの」、「島津家に伝わるひな雛道具と人形展」など、島津家の歴史と文化に触れる多彩な展示になっています。

オリジナル土産が揃うミュージアムショップ

尚古集成館別館内にあるミュージアムショップは、所蔵品をもとにデフォルメしたオリジナルグッズを取り揃えていて、尚古集成館ならではのお土産としてもおすすめです。島津家、鹿児島について尚古集成館の学芸員が執筆した書籍なども並べられ、ここでしか手に入らない本もありますので、歴史好きには見逃せないショップと言えます。

「尚古集成館」周辺の見どころ

仙巌園

出典:https://www.flickr.com/photos/h-ism/49372123471/sizes/l/

尚古集成館周辺には、島津家ゆかりの歴史、文化などの見どころが沢山あります。尚古集成館隣接の名勝「仙厳園」、「薩摩切子工房」、島津家歴代当主を祀る「鶴嶺神社」、世界遺産「反射炉」、西洋化の努力が見える「異人館」などがおすすめのポイントです。また、お土産として、旅の記念になる島津薩摩切子を取り扱うギャラリーショップもあります。

島津家別宅「仙巌園」

世界遺産の尚古集成館に隣接する島津家別邸「仙巌園」は、日本を代表する大名庭園で、庭園と御殿がみどころで、園内には、お食事やお土産物の施設も充実しています。

この「仙巌園」は、19代久光によって築かれた島津家別邸で、錦江湾や桜島をとりいれた雄大な景色を借景とした庭園が美しく、御殿は、29代忠義が一時、本邸として、また、国内外の要人を招く迎賓館としての役割も果たしました。2015年に世界文化遺産・尚古集成館の構成資産に登録されています。

仙巌園の基本情報

住所 〒892-0871 鹿児島県鹿児島市吉野町9700−1
営業時間 9:00~17:00
TEL 099-247-1551
公式HP https://www.senganen.jp/

伝統を伝える「薩摩切子工房」

尚古集成館の仙巌園内にある「薩摩切子工房」は、島津斉彬によって生みだされた島津薩摩切子の製造工程を間近で見学できる工場で、一時途絶えた薩摩切子を復元した工房です。この工房は、ガラスの型を作る「吹き場」、模様を彫る「カット場」、最後の仕上げの「磨き」の3つのエリアで構成され、薩摩切子職人の手作業の技を見学することができます。

薩摩切子工房の基本情報

住所 〒892-0871  鹿児島県鹿児島市吉野町9688-24
営業時間 8:30~17:30
TEL 099-247-2111
公式HP http://satsumakiriko.co.jp/gallery/index.html

島津家歴代当主を祀る「鶴嶺神社」

尚古集成館にある鶴嶺神社は、島津家歴代当主とその家族が祀られている神社で、仙巌園に隣接しています。最初は山下鶴嶺(現在鹿児島市照国町の島津斉彬公像建立の地)に建立され、明治12年(1879)に竜尾神社を合祀し、大正6年(1917)に第30代の当主島津忠重が市郊外の磯集成館跡の現在地を神社に寄進し、新たに御社殿を造営しました。

神社の宝物としては、島津忠久が着用したとされる赤糸威大鎧(重要文化財)や、忠重が奉納した太刀銘備前国住雲次(重要文化財)、そして歴代当主の像があります。また、島津義久の娘、亀寿を祀る神社としても知られています。

鶴嶺神社の基本情報

住所 〒892-0871 鹿児島県鹿児島市吉野町9698−2
例祭 3月1日・10月1日
TEL 099-247-1551
公式HP https://www.senganen.jp/

世界遺産「反射炉」

日本初と言われる近代的な工場群である旧集成館を設けた薩摩藩主島津斉彬は、1851年に海外からの脅威に対し、海からの外敵に対応するための大砲や武器、軍船を自前で作る必要があると考え、材料の鉄を溶かす溶鉱炉や反射炉を建造しています。そして、仙巌園内では、その反射炉の跡地を見学できます。

2015(平成27)年7月には「明治日本の産業革命遺産製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産・旧尚古集成館の建造物の一つとして、世界遺産に登録されています。

反射炉の基本情報

住所 〒892-0871 鹿児島県鹿児島市吉野町
営業時間 8:30~17:30
TEL 099-247-1551
公式HP こちらを参照()

西洋化の努力が見える「異人館」

「尚古集成館」にある「「異人館」は、日本初の洋式紡績を導入した工場の技術指導にあたったイギリス人技師の宿舎で、旧鹿児島紡績所技師館と呼ばれていました。1867(慶応3)年に建てられた宿舎は、日本の匠の技で設計されながら、コロニアル様式のベランダがあるなど和洋折衷の建築様式が珍しく、日本で最も初期の洋風木造建築と言われています。

この建物は、1962年6月に国の重要文化財に指定され、2015年7月には「明治日本の産業革命遺産製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産・旧尚古集成館の建造物の一つとして、世界遺産に登録されました。

異人館の基本情報

住所 〒892-0871 鹿児島県鹿児島市吉野町9685−15
営業時間 8:30~17:30
TEL 099-247-3401
公式HP こちらを参照

「尚古集成館」の詳細情報

尚古集成館

出典:https://www.flickr.com/photos/seiji_yamanushi/6056106566/sizes/l/

尚古集成館では、常設の展示のほかに、ワークショップや様々なイベントが開催されています。ここでは、その内容や、尚古集成館の営業時間、観覧料金、駐車場情報などについて紹介しますので、訪れる際の参考にしてみてください。

ワークショップやイベントも開催!

尚古集成館では、島津家の関わる様々なワークショップが開催されているほか、島津家に伝わるひな道具と人形の展示や、海洋国家として歩んだ薩摩藩の歴史を紹介する展示、薩摩藩とイギリスとの関係を紹介する展示など、各種イベントも開催されています。

営業時間と定休日

尚古集成館の開館時間は、8:30~17:30、年中無休で営業しています。そして、共通入場券で利用できる仙巌園も同様です。また、仙巌園の御殿入場は、9:00~16:50までと、尚古集成館や仙巌園の営業時間とは異なっていますので、注意が必要です。

観覧料金と割引方法

仙巌園と尚古集成館を自由に観覧できるチケットが販売されており、料金は高校生以上が1,000円(900円)、小中学生が500円(450円)、乳幼児は無料です。カッコ内は割引料金で、割引券はJTB、るるぶレジャーチケットなどで購入可能です。また、御殿を観覧するには別途料金が必要です。

駐車場情報

尚古集成館の駐車場は仙巌園と共通で、料金は1日300円。100台程度駐車できるようですが、すぐに満車になります。ただ、入れ替えが早いため、繁忙期でなければ比較的待たずに駐車できます。GWやお盆などは、近隣の島津家所有の駐車場を臨時駐車場として用意してくれるので、駐車場で困ることはほぼないようです。

周辺に指定駐車場あり

尚古集成館・仙巌園は専用駐車場のほかに、仙巌園周辺の施設の駐車場も利用でき、ジョイフル裏駐車場、や異人館、島津薩摩切子ギャラリーショップなどの駐車場も利用可能ですので、尚古集成館の駐車場が満車の場合には利用することをおすすめします。

ジョイフル裏駐車場

仙巌園駐車場の道路を挟んで直ぐのジョイフル裏の駐車場料金は、1時間100円、最大500円(8時~18時)ですが、仙巌園のチケット購入時に駐車券を渡し、割引認証を押してもらうと1日200円で利用できます。

異人館駐車場

仙巌園近隣にある異人館の駐車場は料金が無料です。異人館を訪れた後、徒歩で尚古集成館、仙巌園の見学であれば、時間に余裕をもっての散策も可能ですので、まずはこの駐車場を目指して来てみるのもおすすめと言えます。

「尚古集成館」の基本情報

住所 鹿児島県鹿児島市吉野町9698-1
電話番号 099-247-1511
営業日 通年 年中無休
営業時間 8:30~17:30
料金 仙巌園と共通券 大人・高校生以上1,000円 小・中学生500円
アクセス 鹿児島中央駅から車で約20分
HP http://www.shuseikan.jp/

「尚古集成館」へ薩摩魂を感じに行こう!

尚古集成館

出典:https://www.flickr.com/photos/irenelam/2384229465/sizes/l/

尚古集成館は、幕末に薩摩藩主島津斉彬が富国強兵策として建てた金属加工や蒸気機関の修理などを行う機械工場で、最古の洋式工場建築物として知られ、世界遺産に登録されています。

また、島津家別宅「仙巌園」や「鶴嶺神社」、そして「反射炉」や「異人館」など見所も多く、「薩摩切子工房」を見学した後に、お土産に薩摩切子をチェックするのもおすすめで、一通り見学したら、「仙巌園」の庭から目の前に聳える桜島を眺めながら休憩してみてはいかがでしょう。

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この記事のライター
Yoshi
お仕着せの旅行ではなく、自分でプランを立てて歩き回るのが好きです。趣味は、温泉・ゴルフ・徘徊・お酒・料理・妄想・音...

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