福島名物「凍天」とは?製造会社・木乃幡が自己破産?復活の可能性は?

凍天はカリッとしたドーナツ生地とモチっとした凍もちの食感が同時に味わえる、福島名物として人気のお菓子です。しかし、現在は製造元の木乃幡が自己破産し幻の福島名物となっています。凍天の今後の復活についてや誕生秘話など、凍天の魅力についてまとめています。

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目次

  1. 1福島名物「凍天」とは?
  2. 2「凍天」の誕生の歴史
  3. 3「凍天」の愛されていた魅力とは?
  4. 4「凍天」の製造会社が自己破産
  5. 5「凍天」のレシピ&作り方
  6. 6人気の福島名物「凍天」を作ってみよう

福島名物「凍天」とは?

凍天(しみてん)とは、東北地方や信越地方などの寒冷地で、古くは鎌倉時代より保存食として親しまれてきた凍餅(しみもち)を水でもどし、ドーナツ生地で包み揚げた福島名物のお菓子として知られ、もち処木乃幡が看板商品として販売していたお菓子です。

凍天は、油で揚げたドーナツの香ばしい香りと、サクッとした歯ごたえにお餅のモチモチ感が組み合わさる独特の食感が魅力で、長年、親しまれてきました。福島県民にとって凍天はなじみの深いお菓子で、地元の人たちの中にもファンが多く、外せない名物のひとつです。

しかし、東日本大震災と共に売り上げが低迷し、福島市内のもち処木乃幡の店舗が続々と閉店に追い込まれ、2019年には、販売元であった株式会社木乃幡が自己破産してしまいました。今では復活を望む声も多い中、凍天は幻の福島名物のお菓子となりつつあります。

果たして今後、凍天の復活はあるのか。凍天の誕生秘話やヒットのきっかけがわかる歴史、株式会社木乃幡が自己破産に至った経緯などと共に、凍天の魅力について探っていきましょう。

福島県にある(株)木乃幡が販売していたお菓子

凍天は、もち処木乃幡福島県南相馬市原町区で、株式会社木乃幡(このはた)が製造・販売をしていました。木乃幡は、昭和55年に創業し、創業当初は切もち、凍もち(しみもち)製造を中心に行っていました。

凍天(しみてん)の正式な商品名は「凍もちの天ぷら」で、略して凍天として販売が開始されました。凍天は同社、木乃幡により特許申請もされており、福島名物のお菓子として地元の人たちを中心に親しまれる存在となりました。

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「凍天」の誕生の歴史

販売元の株式会社木乃幡が自己破産してしまい、今では、幻の福島名物となってしまった木乃幡の凍天。そもそも、凍天はどうやって生まれたのでしょうか。凍天に関する誕生秘話やどうしてヒットに至ったかなど、凍天の歴史について詳しくご紹介します。

凍もちの製造・販売からスタート

凍天が生まれる前、1961年にまだ木乃幡が株式会社になる前のことです。創業当初の木乃幡家は、もち処木乃幡の前身である「コワタ食品」を立ち上げ、はじめは凍もちの製造・販売を業務としていました。

1981年には、福島市内の「あやめ園」内にて露天販売も開始しました。この時は、焼いた凍もちを主に販売し、砂糖醤油や磯辺焼きをメニューとして、団子屋の露天として凍もちを販売をしていました。

転機は卓上フライヤーの導入

転機が訪れたのは、木乃幡の女将さん(現在の専務)が馴染みのお客さんに「切り餅を素揚げして、うどんにのせてくれないか?」と尋ねたことからでした。そこで、女将は売り場に卓上フライヤーを設置し、素揚げした力もちうどんをメニューに加え販売してみたところ、大好評となったそうです。

揚げ物用のフライヤーを導入したことで、他にも揚げ物系の新しい商品が販売できないかと考えたところ、「凍もちの天ぷら」のアイディアが浮かんだそうです。そうして、この「凍もちの天ぷら」は新メニューとして露天の大ヒット商品となりました。

「もち処木乃幡」の誕生

その後、好景気だった日本も1991年にバブル崩壊を受けました。切り餅と凍もちの製造を生業としていたコワタ食品にも不景気の波が押し寄せます。

コワタ食品の社長木幡喜久雄は、他を頼らずに自社製品は自身で売るという方向に経営を転換し、自店舗を持つことを決意します。不景気の最中でしたが、周囲の協力も得ながら、凍もちの天ぷらを看板メニューに掲げた「もち処木乃幡」が誕生しました。

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「凍天」の愛されていた魅力とは?

SNSなどでも、凍天の販売を復活して欲しいという声や、販売終了を惜しむ声が多く見られる凍天。ここでは、どうして凍天がそこまで愛されるお菓子となったのか、凍天の魅力についてさらに探っていきたいと思います。

魅力①地元の人・芸能人からも人気

凍天は、地元の人たちや芸能人からも支持され人気を得ていたということです。凍天は、近年のSNSの普及によって瞬く間に拡散され、福島を訪れる観光客や芸能人にも凍天の魅力が伝わるようになりました。

はじめは、観光客からじわじわと火が付き、凍天を大量買いする人も現れました。その後、ミュージシャンや芸能人などが、続々とインスタやTwitterなどのSNSに凍天を投稿、凍天は福島名物の美味しいお菓子として評判を呼び、徐々に人気が拡散されていきました。

魅力②テレビ番組で紹介され話題に

さらに人気に拍車をかけることとなったのは、2011年の2月に凍天が全国区のテレビ番組に取り上げられたことです。人気番組の影響を受けて凍天の名前は全国に知られ、一気に知名度が上がりました。番組の放送後は、全国各地から注文が殺到し、凍天の売り上げは通常時の7倍という記録を作りました。

魅力③食感と食べやすさ

福島の美味しいお菓子として全国に知られるようになった凍天は、子どもから大人まで親しまれるドーナツ風味のお菓子として、手軽にテークアウトできる食べやすさも魅力です。また、カリカリッとした外側の部分と、お餅によるモチモチ感の食感が同時に味わえるのも、凍天独特の魅力です。凍天は一度、食べるとリピートしたくなる、忘れがたい味のお菓子なのです。

魅力④ご当地限定メニューも

凍天にはご当地限定のメニューも存在しました。福島のもち処木乃幡のお店では、凍天とソフトクリームを組み合わせた限定メニューが、プチ天ソフトとして売られていました。

このプチ天ソフトとは、カップに凍天が2つほど入っており、その上にたっぷりとソフトクリームがのっけられいます。凍天はヨモギ餅でできていて、ヨモギの味とモチっとカリッと感、冷たくやわらかいソフトクリームの食感がたまらない食感です。しかも、一個320円というお財布にも嬉しい値段で、福島もち処木乃幡のご当地限定メニューとして注目を集めました。

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「凍天」の製造会社が自己破産

芸能人や観光客のSNSでの拡散や、人気テレビ番組の影響で全国的に注目を集めた凍天でしたが、惜しくもテレビで取り上げられた2011年、その年の3月11日に東日本を襲った東日本大震災により大打撃を受けて、結果、株式会社木乃幡は2019年に事実上の自己破産を迎えます。

人気絶頂だった凍天が、どのようにして製造・販売終了の危機に陥ってしまったのか、株式会社木乃幡の自己破産の経緯などと共にを見ていきましょう。

売り上げの落ち込み

テレビ番組で取り上げられたことやSNSでの拡散により、全国的な人気を得ることができ、オンライン販売もスタートさせ、順風満帆であった凍天(しみてん)の年間総売上は、絶頂期の2006年6月期には約3億8700万円にも上りました。

しかし、2011年3月11日起きた、東日本を襲った東日本大震災によって凍天の製造工場が被災してしまったために、外注による凍天の製造を余儀なくされました。

さらに追い打ちをかけることが起きてしまいます。凍天の本店工場の所在地が、たまたま福島第一原発事故による避難区域内であったがために、福島名物の凍天は世間から風評被害を受けることとなったのです。これによって、うなぎ登りであった凍天の売上も徐々に低迷していきました。

福島市内の店舗が閉店

業績悪化を受け木乃幡は、新たに宮城県内の商業施設内や、JR仙台駅構内に小売店の出店を試みました、さらに、2014年には宮城県の名取市に新工場を設置し、凍天の製造を再開しましたが、小売り販売の売上が思うように上がりません。

新しい製造工場を新設したことで借入金負担を背負い、そのことが収益をさらに圧迫していました。木乃幡は瞬く間に赤字経営に陥ってしまったのです。2018年には、木乃幡の本社も新工場のある宮城県名取市へと移設しました。

木乃幡は、採算の取れない店舗を閉鎖し、サービスエリアなどへの出店も試みましたが、それでも店舗の売上げは上がらず、さらには主力店舗であった、福島市内のもち処木乃幡福島店までもが、2019年1月に定期借地権契約終了に伴い閉店を迎えたのです。このことが、のちの自己破産への引き金にもなります。

全売り上げの3割を占めていたという福島店の閉店を受け、木乃幡はさらに大きな債務を背負うこととなります。売り上げの大幅な減少から、業績の悪化を食い止めることはできず、木乃幡の経営はいよいよ苦境を迎えます。

復活を願いクラウドファンディングで資金調達へ

そんな中、凍天の復活を諦めない木乃幡は新たな試みとして、クラウドファンディングによる資金調達への挑戦を開始します。東日本大震災からはすでに8年が経過していましたが、それでも凍天の復活を諦めず、自ら苦境を公開し挑戦する「もち処木乃幡」の姿に、凍天復活を期待し応援する声も多数見られました。

そして、震災8年目を迎えた2019年3月14日、「もち処木乃幡」と看板メニューである凍天の復活を願い、新福島本店の開店資金として、目標金額1,500万円の資金調達を募るためのクラウドファンディングが開始されました。

新店舗は飲食スペースも予定していた

木乃幡による凍天復活をかけたクラウドファンディングでは、新福島本店への熱い構想も語られていました。新店舗では、これまでの商品の販売の他、新メニューを加えた飲食スペースの設置も計画されていました。

併設される飲食スペースでは、看板メニューである凍天の他にも、あんこ牛乳といったホットドリンクや雑煮、あんみつやぜんざいなどの新たなメニューを加え、バージョンアップした凍天を味わえる甘味処として開店する予定となっていました。

しかし、凍天復活を願ったクラウドファンディングでしたが、クラウドファンディング期間が終了する前に、目標金額の達成状況や不足の事態が発生したことを理由に、いきなりの中止を迎えることとなってしまいます。

クラウドファンディングが中止になった理由

凍天の復活チャンスを狙ったクラウドファンディングは、当初の予定では2019年3月14日から4月14日に終了する予定となっていました。しかし、期間終了を迎える手前の4月12日に中止を迎えることとなります。

その理由は、4月12日時点での達成状況と不測の事態ということでした。不測の事態とはざっくりとまとめると、クラウンドファンディング中に、不動産業者の変更による内容の変更が余儀なくされ、予算の立て直しが必要となっとこと。東電の和解金の実際の振込金額が予定よりも下回り、振込みが遅れていることも影響していました。

また、主力店舗であった福島店閉鎖も資金繰りの面で大きな影響があり、クラウドファンディングの運営側であったCAMPFIREとの話し合いの結果、凍天の復活をかけた、もち処木乃幡のクラウドファンディングによる挑戦は中止という結果になったのです。

2019年4月20日に株式会社木乃幡は自己破産申請を行います。事実上の自己破産です。これにより、さまざまな方面から復活が期待された凍天は、ついに幻の福島名物となってしまったのです。ネットでは木乃幡の事実上の自己破産の報道を受け、凍天の復活を惜しむ声が多く見られました。

「凍天」のレシピ&作り方

復活を惜しむ声が今でも多く見られる「凍天」ですが、ここまで凍天の魅力を知ってしまった以上は、食べてみたいと言う人も多いのではないでしょうか。そこで、家庭でもできる凍天の作り方について記載したいと思います。

せっかくなら、凍もちから作りたいという方のためにも、凍もちの作り方についても記載しています。ご家庭で凍天を再現してみたい方は、ぜひ「凍天」の作り方を参考にしてみてください。

材料は?

凍天の作り方をご紹介したいと思います。ここでは市販の凍もちを使った作り方を記載しています。材料は、凍もち250グラムとホットケーキミックス100グラム、水50㏄と卵1個です。凍もちを用意できない時は、切り餅など市販のものを用いてみても構いません。

お餅の準備

家で凍天を再現する場合の作り方です。はじめにお餅の準備をします。市販の凍もちを使う場合は、予め硬いうちに一口大に切っておきます。ものすごく硬い場合は、お餅の表面をびちょびちょになるまで濡らし、レンジで1分程加熱すると柔らかく切りやすくなります。

凍みの作り方

ちなみに、凍もちの作り方についても触れておきます。家で凍もちを作りたいときの作り方の参考にしてみてください。凍もちを作るには、つきたてのお餅を水にくぐらせ冷まし固めます。固まったお餅を1センチ弱の薄さにカットし、氷点下の続く日を狙って干し網にのせて乾燥させます。

生地の準備

凍天の生地の作り方です。ボールにホットケーキミックスを入れてまぜ、中央にくぼみを作り、水を少量ずつ注ぎ混ぜます。この時、くぼみの周りの粉を少しずつ崩す感じで混ぜていくのがコツです。

卵を加えさらに混ぜ、ホットケーキの生地くらいの固さになるまで水を加え調整します。生地ができあがったら、一口大にきったお餅をくぐらせ、160度の油でカラッと焼けば凍天の完成です。

人気の福島名物「凍天」を作ってみよう

残念ながら東日本大震災をきっかけに、製造工場の風評被害や本社の自己破産があったために、人気のあった凍天は福島の幻の名物のお菓子となってしまいました。復活を願う人々も多いですが、今は店舗でもち処木乃幡の「凍天」は、販売されていないのが現実です。

いつか、凍天が福島名物として復活することを願いますが、どうしても今すぐに独特の美味しい食感を楽しみたい方は、作り方を参考にして名物「凍天」の味をご家庭で再現してみてはいかがでしょうか。

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この記事のライター
LYN
九州生まれ、温泉旅行と食べ歩き大好き女子です。個人的に好きな温泉は、海を見渡せるパノラマビューがある温泉です。ご当...

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