砂丘と聞くと鳥取砂丘をイメージするかもしれません。しかし、山形県にある「庄内砂丘」も日本を代表する砂丘の一つといえるでしょう。日本海に面した庄内砂丘は「日本三大砂丘」の一つであり、観光スポットとしてとてもおすすめです。

庄内砂丘は約35キロメートルの長さとなっており、日本一長い砂丘となっています。日本海の美しい景色と砂丘が続いており、鳥海山を眺めることができるのです。

庄内砂丘は非常に長さがあるため、駐車場が豊富でアクセスしやすい観光スポットです。海岸を35キロ全て歩くというのは大変なので気をつけましょう。庄内砂丘へのアクセスは鶴岡駅からバスで約40分で到着します。

駐車場に関しては庄内砂丘が広いこともあり、複数の選択肢があるといえるでしょう。たとえば酒田港近くの港町さかたがおすすめの駐車場です。その他にも湯野浜海岸に合わせた駐車場が多数あります。

庄内砂丘は自然の魅力が詰まった観光スポットです。砂丘を歩くだけでなく、周辺には黒松やメロンなど意外な名物も話題となっています。また、あの砂の女の舞台にもなっていたのです。庄内砂丘の特徴や魅力をチェックしてみましょう。

庄内砂丘は日本三大砂丘の一つに挙げられることがあります。実は日本三大砂丘の正式な決まりは無いようで、鳥取の鳥取砂丘や鹿児島の吹上浜、静岡県の南遠大砂丘、新潟の新潟砂丘が存在します。

そのため、庄内砂丘が日本一長い砂丘と言われていますが、新潟砂丘はその倍の70kmに及ぶなど不思議な状態となっています。新潟砂丘の場合は一般的にイメージされる、砂丘と見た目が異なる点が関係しているのかもしれません。

砂丘が形成される理由は様々ですが、庄内砂丘の場合は川が運んできた砂を冬の強い季節風が積もらせたと考えられています。しかし、その強い季節風は農地に影響を与えるほどで、300年ほど前から黒松が植林されるようになったそうです。

そのため庄内砂丘には多くの黒松が植えられており、地元の人の稲作などを守っています。庄内砂丘はある意味で防風林の役目を果たしており、他の砂丘とは違った見た目と感じることでしょう。

庄内砂丘では意外な名物が存在します。それは庄内砂丘で栽培される「メロン」なのです。先程の黒松が防風林の役割を果たし、同時に水はけの良い畑が誕生しました。庄内砂丘の効果によって夏の昼は気温が高く、夜は海からの風で温度が下がります。

この気温の変化を利用して庄内砂丘周辺ではメロンが栽培されるようになったのです。また、庄内砂丘周辺ではメロンだけでなくスイカも栽培されており、温かさと涼しい気温を利用した名産品が誕生しています。

美味しいメロンを作るためには温かい気候が重要です。庄内砂丘のメロンは近年から始まったものではなく、すでに大正時代から栽培を始めていたのだとか。黒松の植林が江戸時代から行われていた中で、何度も失敗を繰り返しながら濃厚なメロンが出来上がったわけです。

庄内砂丘で栽培されるメロンの品種は「ライフ」というものが有名です。昭和初期頃にはカリフォルニアの栽培方法を手本としたものの、戦争の影響で栽培が一度中止されたという経緯もあります。

ライフやプリンスメロンの栽培が成功し、庄内砂丘のメロンは品質が良いことで高い評価を受けました。果肉が非常にジューシーで爽やかな甘さが特徴となっています。値段は一玉2,980円ほどからになっています。

メロンの値段は品種などによってピンきりですが、決して高すぎないものとなっています。庄内砂丘を観光したからこそ、砂丘メロンの値段も納得できるものといえるでしょう。友達へのプレゼントにも値段が高すぎないので贈りやすいものとなっています。

小説「砂の女」は1962年に安部公房によって書かれた作品です。日本だけでなく海外でも高い評価を受けている作品で、近代日本文学の代表作といえるでしょう。砂丘の砂穴に住む女に閉じ込められた男の脱出劇となっており、不思議な世界観に引き込まれる作品です。

実はこの砂の女の舞台になったのが庄内砂丘だと言われています。安部公房がとある飛砂の被害に苦しむ山形県の記事を読んだことがきっかけだったそうです。また、安部公房自身の脚本で1964年に砂の女の映画化も行われています。

庄内砂丘の歴史を学んだところで、改めて見どころをチェックしてみましょう。庄内砂丘を観光することで自然の壮大さや美しさを肌で感じることができます。庄内砂丘の見どころを解説します。

まずは庄内砂丘のクロマツの防風林が目に入ってくることでしょう。周辺の人々の生活に大きく関わっており、安全な環境を守るために植林されたものです。クロマツの防風林は先人の知恵といえます。

地元の名産となった砂丘メロンの畑も確認できます。庄内砂丘で生産されるメロンは日持ちが良く、山形から関西地方に出荷されています。新鮮なメロンを手軽な値段で遠方地でも楽しめるのは素敵なことといえるでしょう。

庄内砂丘は海岸に沿って総延長約33キロメートルとなっています。砂丘を歩きながら海岸の風景を楽しむことができるでしょう。また、海岸から鳥海山を見れます。駐車場に車を停めて、ゆっくりと散策してみましょう。

メロンの産地として有名なこともあり、庄内空港近くには砂丘メロンのモニュメントがあります。山形県はアンデスメロンの生産量で全国2位となっており、そのほとんどが庄内産です。ユニークなメロンのモニュメントを探してみましょう。

庄内砂丘の南端には湯野浜海岸があります。湯野浜海岸から美しい夕陽を眺めることができ、湯野浜温泉もあります。近くに宿泊して温泉を堪能し、湯野浜海岸からの夕陽を眺めるのも良いでしょう。

庄内砂丘周辺の観光スポットもチェックしてみましょう。湯野浜海岸や湯野浜温泉以外にも気になる観光スポットがあるようです。庄内砂丘以外の日本一な観光スポットを紹介します。

庄内砂丘はその長さが日本一と言われていますが、日本一の米と言われる「山居米」の巨大倉庫があります。山居倉庫は保存するお米の審査が厳しく、非常に高品質なものを取り扱っています。現代的な技術を取り入れながら趣のある倉庫が見学できます。

庄内砂丘から約10kmほどの位置にあるのが「日枝神社」です。庄内三大祭りの一つである「酒田まつり」が行われる場所となっています。美しい赤い鳥居が目印で、自然を感じられるパワースポットといえるでしょう。

庄内砂丘近くには「土門拳記念館」があります。名前だけ聞くと拳法家の記念館と勘違いするかもしれませんが、昭和に活躍した写真家の観光スポットです。土門拳は1909年生まれで寺院や物族の写真を多く残しています。

見学の値段は大人で440円となっており、約7万点に及ぶ作品の中から展示物が選ばれています。土門拳の世界観を尊重した記念館となっており、建物や景色も楽しむことができるでしょう。

日本一の長さを誇る庄内砂丘について紹介しました。安部公房の小説「砂の女」のモデルになった場所です。湯野浜海岸の美しい景色と合わせて楽しめるスポットであり、美味しいメロンも産地となっています。手頃な値段のメロンをお土産にするのも良いでしょう。

また、砂の女の小説や映画を確認してから訪れるのもおすすめです。自然豊かな景色を楽しんだ後は、湯野浜温泉に浸かると疲れが癒されます。自然の壮大さを感じられる庄内砂丘にぜひ訪れてみましょう。