秋田「蚶満寺」は松尾芭蕉の俳句で有名なスポット!七不思議や御朱印は?
秋田県にかほ市にある歴史ある「蚶満寺」。松尾芭蕉が訪れ「おくのほそ道」の最北地としても有名です。蚶満寺はその古い歴史から、さまざまな言い伝えや伝説が七不思議として残っています。数々の俳人や歌人が魅了された象潟「蚶満寺」の魅力をご紹介します。
にかほ市の有名スポット「蚶満寺」
「蚶満寺(かんまんじ)」は、秋田県にかほ市象潟にある歴史あるお寺です。仁寿3年(853年)に開かれたと伝えられています。その古い歴史から蚶満寺には七不思議が伝承されています。近年ではパワースポットとしても人気があります。
象潟(きさかた・現在のにかほ市)は、かつては海に浮かぶ無数の小島があった絶景の地で、松尾芭蕉の「おくのほそ道」最北の地としても知られ、松尾芭蕉が見た素晴らしい景観は俳句にも残されています。
蚶満寺では座禅の体験ができたり、御朱印をいただくこともできます。また、猫好きな住職が飼育している猫も有名で、蚶満寺の境内には多くのかわいい猫たちがのびのびと生活しています。
松尾芭蕉が立ち寄ったとされる
元禄2年(1689年)には有名な俳人・松尾芭蕉が象潟を訪れ、その景観を「おくのほそ道」にしるしたことでも有名です。松尾芭蕉が蚶満寺を訪れてから115年後に発生した大地震による地殻変動で隆起が起こり地続きになったため、現在では松尾芭蕉が俳句に残した景色を見ることはできません。
有名な景勝地だった「象潟」
蚶満寺がある秋田県象潟は、かつて「東の松島、西の象潟」と呼ばれていたように、宮城県松島のような多くの小島が浮かぶ入り江でした。この象潟は、雄大な鳥海山が水面に映る絶景の地だったと伝えられています。
多くの詩人などが訪れた絶景は、文化元年(1804年)に起こった大地震(象潟地震)で隆起し干潟に変わりました。現在では「九十九島」と呼ばれ、田園地帯に島が浮かんでいるような独特の景色が見られます。
別名「猫寺」と呼ばれる
蚶満寺の受付猫。ひさしぶり。「何?お一人?○○円です」「お守りどうっすか?」 pic.twitter.com/22y3EUCUlU
— KOMIYAMA Atsushi (@kommyak) November 22, 2015
蚶満寺が「猫寺」と呼ばれる理由は、蚶満寺の住職が猫好きで10匹を超える保護猫を飼育していることにあります。歴史あるお寺の境内の中を猫たちが自由に歩いたりひなたぼっこをしたりと、猫好きな人たちにも人気のスポットになっています。
「蚶満寺」に伝わる七不思議
歴史の古い蚶満寺には、さまざまな言い伝えや伝説が残っています。それらは蚶満寺の「七不思議」として現在に伝えられています。寺に異変が起こることを知らせる椿やツツジなど、どれも不思議な話ばかりです。
七不思議①夜泣きの椿
象潟の蚶満寺にて
— shimu@僕の歩く町 (@44982441shimu) April 13, 2016
樹齢約700年の椿の大木、
夜泣きの椿
一年中花が咲き続けているそうです。 pic.twitter.com/eIqQQbaT8d
蚶満寺には、樹齢700年を超える立派な椿があります。この椿がある夜に声をあげて鳴き、数日後に寺に異変があったと伝えられています。その後も数度同じようなことがあり、蚶満寺にとってよくないことや異変が起こる前になると「椿が夜泣きをする」と伝えられています。
七不思議②北条時頼咲かずのツツジ
北条時頼公のつつじ。
— 笹身★(読みは【ささみ】と申します) (@hitujino1192) May 6, 2014
(以下蚶満寺しおりより)正嘉元年(1257年) 時頼公寺領を寄進す、寺紋も北条家の三鱗である。 pic.twitter.com/ocTEryTn7Z
蚶満寺は、正嘉元年(1257年)に訪れた北条時頼により中興されました。蚶満寺には北条時頼が植えたとされる2本のツツジがあります。しかし、そのうちの1本は普段花を咲かせることはなく、寺に異変が起こる年にのみ花が咲くと言われています。
七不思議③木登り地蔵
象潟の蚶満寺にて
— shimu@僕の歩く町 (@44982441shimu) April 13, 2016
木登り地蔵 pic.twitter.com/ZU8auSdjDL
蚶満寺の本堂裏にある大きな木の幹が分かれるところに、お地蔵さまがあります。このお地蔵さまを木の下におろした翌朝、また元の場所に戻っていたと伝えられていることから「木登り地蔵」と呼ばれています。
七不思議④猿丸大夫姿見の井戸
秋田県・蚶満寺の”猿丸太夫姿見の井戸・・
— さいもん みつを まーふぃー (@pure_red1965) May 12, 2016
この井戸、自分の未来の姿が見えると言う。
まるで魔法の井戸。
小学校5年以来、来てなかったけど。
当時は、ふたが無かった。
久しぶりでした。 pic.twitter.com/HsK8UH0sGP
平安初期頃の人物で三十六歌仙の一人とされる猿丸太夫が象潟を訪れた際、蚶満寺の井戸に自らの姿を映して行く末を占ったといわれています。夜中に誰にも見られずに井戸に自分の姿を映すと、未来の姿が見られると伝えられています。
七不思議⑤弘法投杉
蚶満寺の参道への入り口左側にかつて古い松の木があり、そのうちのひと枝が杉の枝に見えると言われていました。これが弘法大師の霊験によるものとされ、「弘法投杉」と呼ばれていました。現在ではこの松の木は残っていません。
七不思議⑥あがらずの沢
境内にある袖掛地蔵堂へつながる小さな橋のあたりは、その昔は泥が深い沢で、落ちると深い泥にのまれ地上にあがれなくなると言われていました。この沢は人とり沢であったという怖い話が伝えられています。
七不思議⑦血脈授与の木
かつて夜泣き椿のそばにあった山門には大きな古いけやきの木があり、山門にかかるように枝が垂れていました。あるとき葬列がこの山門まできたところ、棺に入れ忘れたはずの血脈(戒名が書かれたもの)がけやきの枝に吊られていたといわれ、以来この木は「血脈授与の木」呼ばれています。
「蚶満寺」の見どころ
歴史の古い蚶満寺には、見どころが豊富にあります。俳人・松尾芭蕉や歌人としても有名な西行が詠んだ句に関するものや、かつて象潟が入り江だったころの名残を残すものなどがあります。蚶満寺の庭園へ入るには、300円の拝観料がかかります。
見どころ①芭蕉像
象潟にやってきました。ここは芭蕉の「奥の細道」最北の地です。蚶満寺には芭蕉像が建っています。 pic.twitter.com/r0WU3KI8YD
— 賀曽利隆 (@kasotaka70) October 4, 2017
蚶満寺には、大きな岩の上に立つ松尾芭蕉の銅像があります。「おくのほそ道」の最北の地として知られる象潟にあり、松尾芭蕉がこの地で詠んだ俳句が縁で、にかほ市は中国の諸曁(しょき)市と姉妹都市になっています。
見どころ②芭蕉の俳句碑
今日の家族とのドライブでは奥の細道で有名な蚶満寺へ行ってきました!
— 坂本みろく(20) (@rekizyonokokuki) September 8, 2016
「象潟や 雨に西施が ねぶの花」松尾芭蕉 pic.twitter.com/YllHcc5y6G
松尾芭蕉が象潟を訪れたのは元禄2年とされています。海に小島が浮かぶ絶景を讃え、「象潟や 雨に西施が ねぶの花」という俳句を残しています。蚶満寺では、この俳句をしるした俳句碑も見どころのひとつとなっています。
見どころ③親鸞聖人腰掛け石
蚶満寺にある「親鸞聖人腰掛け石」は、もととも肥前国島原の西方寺にあり、浄土真宗の開祖とされる親鸞が腰掛けた石であるといわれています。島原から蝦夷へ輸送中に時化にあい、象潟で陸揚げされて現在の場所に納められたとされています。
見どころ④舟つなぎの石
蚶満寺の「舟つなぎの石」です。象潟が潟だった頃の証明です pic.twitter.com/Ig5JWNgxxw
— 賀曽利隆 (@kasotaka70) June 8, 2018
かつて象潟がたくさんの小島が浮かぶ絶景だった頃の名残を残しているのが「舟つなぎの石」です。これは、小舟などを係留するために使われていた石です。蚶満寺があった島には橋がかけられていたともいわれていますが、船で蚶満寺へ拝観に訪れる人たちが使用していたと考えられます。
見どころ⑤西施像
西施様のお側には "ねむの木" がありません。
— ひで (@hideaki_shiho) July 12, 2019
それにしても穏やかな優しいお顔立ち。#象潟や雨に西施がねぶの花 #松尾芭蕉 #蚶満寺 pic.twitter.com/wKb0HyrV4j
松尾芭蕉が象潟で詠んだ俳句に登場する「西施」とは、中国古代四大美女のひとりで、美人であったばかりに悲劇的な最期を迎えたとされています。蚶満寺には、俳句で詠まれた西施の銅像も立っています。
見どころ⑥西行法師の歌桜
蚶満寺(秋田県にかほ市)
— こなゆき第n形態 (@knyk_6ca) September 20, 2018
松尾芭蕉と西行法師のゆかりの地でもある。 pic.twitter.com/pfHPrzEZ2v
蚶満寺には、西行法師が俳句に詠んだとされる古い桜の木が記念として残っています。この俳句は「象潟の 桜は波に 埋もれて 花の上漕ぐ あまの釣り舟」というものです。この桜の近くには「舟つなぎの石」があり、松尾芭蕉がそこから陸にあがったといわれています。
秋田「蚶満寺」の詳細情報
秋田県の蚶満寺は、松尾芭蕉が俳句を詠んだ当時の風景を想像したりしながら、深い歴史に触れることができるスポットです。拝観料を納めると、蚶満寺の庭園を見学することができます。拝観のしるしとして、御朱印をいただくこともできます。
座禅体験が可能!
蚶満寺
— 秋田県にかほ市 地域おこし協力隊 (@akitakennikaho) November 11, 2019
座禅体験 pic.twitter.com/wEBQMso6zd
2019年12月に、蚶満寺で座禅体験が開催されました。座禅体験に参加できるのは先着20名で、参加費は拝観料込みで1,000円でした。この貴重な座禅体験には、蚶満寺がある秋田県にかほ市周辺以外にも、県外など遠方から参加した人もいました。
座禅(坐禅とも)とは、姿勢を正した状態を保って精神統一をする仏教の修行法です。この座禅体験については、2020年もおこなわれるかは未定です。今後の予定についてはインターネットなどを利用して、座禅体験が開催されるかチェックしましょう。
御朱印もいただける
蚶満寺の御朱印頂きました pic.twitter.com/AK4Ww9BHsA
— 星梨華(セリカ)@8日 大洗 (@selica_gts_x) July 15, 2017
拝観のしるしにいただける「御朱印」は、近年ブームにもなっています。蚶満寺でも御朱印をいただくことができます。御朱印については、拝観時間内の8時30分から17時前までにお願いするのがよいです。御朱印へのお布施については金額は決まっていませんが、相場は300円です。
蚶満寺の詳細情報
名称 | 蚶満寺 |
所在地 | 秋田県にかほ市象潟町象潟島2 |
拝観時間 | 8:30〜17:00 |
拝観料 | 300円 |
アクセス | JR象潟駅より徒歩15分 |
駐車場 | 有 |
参考サイト | https://www.jalan.net/kankou/spt_05403ag2130009186/ |
アクセスの詳細
蚶満寺がある秋田県にかほ市は山形県との県境にあります。蚶満寺へ公共交通機関を利用する際はJR象潟駅から歩いて約15分、車の場合ではおよそ5分ほどの距離です。蚶満寺の駐車場は無料で利用でき、30台ほどが駐車できるスペースがあります。
秋田「蚶満寺」へ歴史の旅を!
仁寿3年(853年)開創と伝えられる秋田県にかほ市の「蚶満寺」。古く深い歴史を持ち、歴史上に名を残すさまざまな人物が訪れたことでも有名です。かつての絶景と讃えられた象潟に思いをめぐらせながら、歴史に触れる旅をしてみませんか。