盛岡「志波城」で古代城柵や政庁跡を見学!歴史やまつりも紹介!

盛岡にある志波城は坂上田村麻呂が築城した古代城柵で、広々とした敷地の中に高さが11mある外郭南門、全長が252mにおよぶ外郭の築地塀や櫓、政庁跡、官衙建物、そして兵舎であった堅穴建物などが整備されています。今回は歴史ロマンを満喫できる志波城を紹介します。

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目次

  1. 1盛岡「志波城」とは
  2. 2「志波城」の観光の魅力
  3. 3「志波城まつり」とは?
  4. 4「志波城」へのアクセス&駐車場
  5. 5「志波城」の歴史に触れよう

盛岡「志波城」とは

志波城

出典:https://www.flickr.com/photos/wormey/38401838195/sizes/l/

志波城は、岩手県盛岡市中太田と下太田にまたがる地域にある坂上田村麻呂が築城した古代城柵で、他に斯波城とも言われており、東北地方の古代文明の中で特に重要な歴史的遺産として、特別史跡である宮城県の多賀城に次いで国の史跡に指定されています。

そして、この史跡は現在、盛岡市によって「志波城古代公園」として整備の上、維持管理されており、外郭南門や築地塀、そして政庁の南門、西門や東門と、官衙衛建物などが復元され、政庁跡などと併せ、無料で見学することができます。

「志波城」の歴史

志波城は、平安時代初期に、征夷大将軍であった坂上田村麻呂が造った古代城柵で、肝沢地方において当時蝦夷の首長であったアテルイを降伏に導き、そして翌年の延歴22年(803年)に、北上川と雫石川の合流地点の近くに造営されています。

この城柵は、奈良時代から平安時代の当時エミシと呼ばれていた古代東北地方の人々を朝廷が統治することを目的に設置された役所のことで、志波城は多賀城と並ぶ、古代陸奥国の最北端にある最大級の城柵として位置づけられています。

坂上田村麻呂が造営した古代城柵

「陸奥」と呼ばれていた昔の東北地方は、日本人とは異なる野蛮なエゾがいたとして、延暦8年(789年)に紀古佐美の大掛かりなエゾに対する征討が実施され、その後、坂上田村麻呂により肝沢城(802年)と志波城(803年)が造られ、陸奥地方は大和朝廷に納められることとなります。

そして、志波城は坂上田村麻呂の後、文室綿麻呂が納めていた時に、川の氾濫によって放棄されることとなり、新しく矢巾町に徳丹城が築かれ、その結果、志波城は長く昭和の時代まで所在不明でしたが、昭和52年の発掘調査によって所在がわかり、多賀城を超えて盛岡周辺にまで朝廷支配があったことが判明しています。

徳丹城造営により約10年で役割を終える

志波城は、雫石川が氾濫したことによる水害の被害があり、その北にあたる部分を失うこととなり、その後、南の方角にある現在の矢巾町に徳丹城が築城されたことから、約10年間で行政府としての役割を終えています。そして、今でも志波城の北の辺りには、当時の水害の影響と考えられる段差を見ることができます。

現在は復元・整備され「志波城古代公園」に

志波城は1984年に「志波城跡」という名称で国の史跡に指定されて以降、1991年からは盛岡市により復元整備が始まり、外郭南門とともに築地塀が当時の技術を元にしながら復元され、城内全体も整備を進めることで、今では「志波城古代公園」として一般公開されています。

また、現在では外郭南辺のほかに、政庁官衙域が復元され自由に見学することができるようになり、宮城県の多賀城と並んで、古代東北地方の大規模な城柵としてその名が知られるようになっています。

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「志波城」の観光の魅力

志波城

出典:https://www.flickr.com/photos/143627770@N02/33235012805/sizes/l/

盛岡にある志波城古代公園は、志波城を発掘調査によって復元整備された歴史公園です。そして、志波城の規模は、外郭が土を固く積み上げた築地塀と大溝で囲まれ、840m×930m四方の広さがあり、各辺の中央には門と、60m間隔に櫓が配置されていたようです。

この公園で復元されているのは、坂上田村麻呂が築城した歴史ある当時の志波城の一部ですが、高さが11mある外郭南門、全長が252mにおよぶ外郭の築地塀や櫓、政庁跡、官衙建物、そして兵舎であった堅穴建物などが、広々とした敷地の中に整備され、宮城県の多賀城と並ぶ史跡となっています。

見どころ①入口の外郭南門・外郭築地塀

「志波城」の見どころとして最初に紹介するのは「入口の外郭南門・外郭築地塀」です。「外郭南門」は志波城の正門にあたり、肝沢城とならんで城柵最大級の五間一戸門で、防御的な性格が強かったという風に考えられており、平安時代末から鎌倉時代の絵巻物を参考にして、二層の櫓門として復元されています。

また、「外郭築地塀」は発掘調査によって、外郭南辺築地塀の基底部の一部が残っていることが確認されたことから、「延喜式」などを参考にして高さが推定されています。板築の堰板は、その強度と当時の軍事的緊張関係などを考慮して、クリの割材が使用されています。

見どころ②政庁南門

「志波城」の見どころとして2番目に紹介するのは「政庁南門」です。志波城の中枢機関であった政庁の正門にあたるこの門は、当初から八脚門であったということが発掘調査によって判明しています。そして、組物を用いる方法などによって、外郭南門に比較して、より雅なフォルムにして復元されています。

見どころ③政庁正殿跡

「志波城」の見どころとして3番目に紹介するのは「政庁正殿跡」です。ここは志波城の中央部に位置し150m四方の広さで、外郭とは幅18mの大路で結ばれています。そして、中心には正殿があり、脇殿がその広場を囲むように配置されていたことがわかっています。

見どころ④竪穴建物

「志波城」の見どころとして4番目に紹介するのは「竪穴建物」です。この建物は鉄加工の工房などの役割を持っており、城の中に1,200~2,000棟配置されていたと言われ、外郭南辺部に見られた竪穴建物の中で、3棟が復元整備されています。

また、カマドの位置や季節風などを考慮し出入口の位置を割り出し、堀込みの規模や城内で見られたほかの竪穴建物の遺構も参考にしながら寄棟型と室型の2種類の形が復元されています。

見どころ⑤志波城古代公園案内所

「志波城」の見どころとして5番目に紹介するのは「志波城古代公園案内所」です。この案内所には大人も子供から大人まで楽しむことができる映像や出土資料が展示されているほか、休憩するためのスペースやトイレ、ソフトドリンクの自動販売機などがありますので、広い範囲に復元された史跡の見学途中に休憩しながら、映像を楽しむのがおすすめです。

見どころ⑥官衙建物展示室

「志波城」の見どころとして6番目に紹介するのは「官衙建物展示室」です。この展示室は志波城政庁を囲む官衙群の中で、長方形の広場に沿うように多くの建造物が配置されている南東官衙についての資料が展示されています。

そして、このうちSB227とした建物跡は、南廂がある東西棟の大型堀立柱建物として、南東官衙の中心的建造物であったと考えられたことから復元され、その内部を政庁および官衙地区を説明する教育施設として利用されています。

見どころ⑦公園内の桜

「志波城」の見どころとして7番目に紹介するのは「公園内の桜」です。志波城古代公園内には沢山の桜が植えられており、春の桜の時期を迎えると、山桜、大島桜、大漁桜などの古代からあったと考えられている桜とともに平安時代の風情を感じることができます。

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「志波城まつり」とは?

志波城まつりは、盛岡市の志波城古代公園で、坂上田村麻呂が築城した当時に思いを巡らせながら、歴史ロマンを感じ古の文化に触れあえるまつりとして開催されます。そして、地元の町内会自治会や志波城跡愛護協会、その他関連する団体や市などの自治体が地元住民の協力を得ながら開催するイベントです。

「志波城まつり」の内容

志波城まつりは、例年9月上旬に開催され、地元の民俗芸能や、地元小中学校の演奏会、もちまきなどが行われると共に、ほかに、城柵遺跡展示コーナーや古代遊びなどイベントも実施されます。また、会場内では産直品の販売やケータリングなどもあります。

「志波城まつり」の詳細

志波城まつりは、例年9月上旬の日曜日に、志波城の政庁南門前~官衙建物前が会場となります。そのイベント内容は、幼稚園児のこどもさんさ、小学生による神楽や吹奏楽演奏、そして、中学生による志波城太鼓と吹奏楽演奏、郷土芸能などがステージ上で繰り広げられます。

そして、古代体験コーナーでは火おこし、勾玉つくり、ミニ考古博物館、古代米パネル展示、写真展示が行われるほか、城柵ネットワークコーナー、どうぶつ広場、産直や屋台・出店などの門前市場、歴史かみしばいなどのこども広場などのイベントが行われます。

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「志波城」へのアクセス&駐車場

坂上田村麻呂が築城した志波城にアクセスして歴史ロマンを体験するには、バスや車などでアクセスする方法や駐車場情報、その他、施設の基本情報を事前に押さえておきたいものです。ここでは、志波城の関連情報について紹介します。

アクセス

志波城古代公園にアクセスするには、車かバスを利用する方法が基本となります。また、公園のエリアはとても広々としていますので、歩きやすい靴や、服装、そして、天気の良い日などは熱中症予防のための帽子などを準備することをおすすめします。

バスで行く

志波城古代公園にバスでアクセスする場合、盛岡駅東口バスプール13番乗り場より「志波城古代公園前行」、あるいは「飯岡十文字経由矢巾営業所行」バスに乗車、約25分で「志波城古代公園前」バス停下車徒歩0分、あるいは「飯岡十文字」バス停下車徒歩10分です。

車で行く

志波城古代公園に車でアクセスする場合、東北自動車道盛岡インターチェンジより約15分、あるいは、東北自動車道盛岡南インターチェンジより約10分、盛岡駅より約12分です。

駐車場情報

車を利用してアクセスする場合には、駐車場が必要となりますが、志波城古代公園には無料の駐車場があり、一般車両8台、バス2台が同時に駐車できます。また、年末年始の12月29日から1月3日までは休園となりますので注意が必要です。

志波城の基本情報

志波城古代公園は、桓武天皇の命令によって坂上田村麻呂が造った志波城がある公園で、外郭は土を固く積み上げた築地塀と大溝で囲まれ、その面積は840m×930m四方と広々としており、その四辺の中央には門と60m間隔に櫓が配置されていたようです。

この公園で復元されている建造物は、志波城の全てではなく一部となっていますが、高さが11mある外郭南門、全長が252mにも及ぶ外郭の築地塀や櫓、政庁跡、官衙建物、そして兵舎であった堅穴建物などが、広々とした敷地の中に整備されています。

住所 岩手県盛岡市上鹿妻五エ新田47-11
開館時間 案内所・トイレの開館時間は9:00~17:00
公園内はいつでも自由見学可能
定休日 12月29日~1月3日
駐車場 有り(無料:一般車両8台、バス2台)
アクセス バス利用の場合、盛岡駅より約25分
車利用の場合、盛岡ICより約15分、盛岡南ICより約10分
入場料 無料
URL Wikipedia

「志波城」の歴史に触れよう

志波城古代公園は、桓武天皇の命令によって坂上田村麻呂が造った志波城がある公園で、高さが11mある外郭南門、全長が252mに及ぶ外郭の築地塀や櫓、政庁跡、官衙建物、そして兵舎であった堅穴建物などが、広々とした敷地の中に整備され、歴史ロマンに浸りながら楽しむことができます。

そして、志波城の歴史ロマンを堪能したら、次は、岩手の名称の起源となったとされる神社や、レトロな建築の名所を訪ねたり、宮沢賢治の世界を体験してみることをおすすめします。

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この記事のライター
Yoshi
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